Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

iPhone が実現するマッドな世界

2009-12-08 09:03:20 | Weblog
『iPhone 情報整理術』というタイトルから,よくありそうな実用書に見える。しかし,この本は発売後すぐ店頭から姿を消すほど売れ,その後も書店のビジネス書コーナーで売上上位ランキングに入り続けている。iPhone のユーザが買うだけでそこまでいくのか,やや疑問に思える。それよりはむしろ,この本が提案するクラウド・オフィスやライフハックのノウハウがクチコミで広がり,多くの人々が興味を感じたのではないか。

iPhone情報整理術 ~あなたを情報’’強者’’に変える57の活用法!
(デジタル仕事術シリーズ)


堀 正岳, 佐々木 正悟

技術評論社


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著者はまず,あらゆる情報を iPhone に入れてしまうことを提案する。電子ファイルはもちろん,もともと紙媒体であっても,すべて電子化して保存する。名刺をスキャンするなんてレベルでは終わらない。本でさえバラバラに解体して,ScanSnapで pdf 化して読み込めという。引き出しや本棚を撮影して iPhone に保存しておくと,いろいろ便利だという。なお,iPhone の記憶容量には限界があるので,ネットワークストレージを活用する。

ビジネスパーソンが iPhone を活用するいう意味では,スケジュールやタスクを管理するためのツールが見逃せない。iPhone と PC あるいはウェブ上のアプリを同期させるさまざまな方法が紹介されるが,逆にどれがいいのか迷ってしまう。それに比べて手を出しやすそうなのは,いくつもの PW を統一的に管理できる 1Password あたりだろう。ネット上でバックアップをとっておけば,iPhone を紛失しても問題はない。

iPhone らしさという意味では,この本の最終章で取り上げられているライフハック用ツールもまた面白い。その筆頭が White Noise という,さまざまな雑音を出すだけのアプリである。これは仕事に集中するのに役立つという。睡眠時間や体重を記録していくアプリは理解可能な範囲内だが,Daytum はそれを超える。日常の諸事を記録したいという欲望から,ブログや twitter を書いている。ハマる可能性は大いにある。

iPhone がもたらす変化は,単なる仕事の情報化や効率化にとどまらないことを本書は語る。この本を買った人々の多くは,過激な「革命運動」に自ら身を投じないまでも,沿道で声援を送りたいと思う人々ではないだろうか。それとも,この本が奨めるよい意味でのマッドな仕事と生活のスタイルを,日本のビジネスパーソンたちは採用し始めるのだろうか?そうなると本当に革命が起きる。そのとき,ぼくはどの陣営にいるだろうか?

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