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Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

飯島勲氏が語る政治の広報

2012-02-10 00:30:59 | Weblog
総理大臣が毎年のように代わる現状では,5年も続いた小泉政権を秘書として支えた飯島勲氏の存在が,その風貌と合わせて気になってくる。本書はいかに官僚を働かせるかを論じた本だが,そのなかで,本筋ではないが,飯島氏のマーケティング感覚が垣間見える箇所がある。

現政権も広報の専門家を雇っているはずだが,飯島氏の目から見ると,メディアへの対応に稚拙さが目立つという。たとえば被災地を訪問した首相が記者に囲まれたとき,カメラに映る背景まで計算に入れて演出すべきなのに,全く配慮されていないという。興味深い指摘である。

官僚
飯島 勲,大下 英治
青志社

もちろん本書の主題はタイトルが示すように「官僚」論で,飯島氏は小泉政権よりあとの内閣がいずれも官僚を使いこなせず,短命に終わっていることを批判している。小泉氏=「小さな政府」というイメージがあるが,少なくとも飯島氏は「脱・官僚」的な風潮には批判的である。

飯島氏は当初野田首相に期待したが,彼が世論に押されて朝霞の公務員住宅の建設を凍結したことに失望したという。そこに住むのは毎晩深夜帰宅を強いられるノンキャリアの官僚である。官公労の組合員でもあり,民主党の支持基盤でもあり得るのに,その措置はないだろうという。

一方のキャリア官僚は,飯島氏によれば民間企業の幹部社員などが及びもつかないほど優秀で,驚くほど広い人脈を持っている。出世意欲が非常に強い彼らをいかに巧く登用して働かせるかが政策遂行の鍵を握る。小泉政権はそれに成功したが,それ以降はまるでだめだと一蹴される。

今後の政局に関する飯島氏の見立ても独特だ。次の総選挙で民主党は敗北するが自民党もかつての勢力を回復できない。今後の政局の鍵を握るのはみんなの党や大阪維新の会ではなく,小沢一郎氏のグループが民主党から分離して,議員数で公明党を上回るかどうかだという。

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