Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

研究と教育の(逆)相関

2008-04-30 19:38:43 | Weblog

「相関」に関する講義資料として,石浦章一『東大教授の通信簿』に出ていた大学教員の研究実績と授業評価の相関が使えるんではと思いつく。該当ページを見ると,残念ながら,相関図のみで相関係数は示されていない。ということで,統計学の授業に使うことはあきらめたが,相関係数という1つの数字には尽くせない情報が,図から読み取れる。

東大教授の通信簿―「授業評価」から見えてきた東京大学 (平凡社新書)
石浦 章一
平凡社

このアイテムの詳細を見る

その図は,東大駒場の理科系教員について,3年間の英文原著論文数と,学生による授業評価の総合点の平均をプロットしたもの。著者がいうように,一見すると両者は無相関か,わずかに正の相関があるかようにみえる(少なくとも負の相関はなさそうだ)。しかし,仔細に見ると,いくつか気になる点が出てくる。

まず,論文数がずば抜けて多い教員が一人おり,授業評価の得点もかなり高いほうだ。この人は特別としても,論文数が上位の人々は,何人かの例外を除き,授業評価は中位より上にある。こうした人々は全体のなかでどちらかというと少数派だが,研究と教育の相関を「正」の方向に引っ張るのに貢献している。

他方,多数を占める論文数が中位から下位の人々は,授業評価が高い人から低い人まで,ばらけている。研究業績では低位だが授業評価で高位の人々と,どちらも低位の人々とがいて,その間が隙間なく埋まっている。ここでは研究と教育の成果は無相関。多数派にとって,研究と教育は独立のスキルといえそうである。

仮に自分をこうした構図のなかに位置づけると,「当然」この多数派に入るだろう。過去の授業評価は「さほど」悪くなかったと記憶するが,「これから」はわからない。新たな授業の準備は延々と続き,連休中に持ち越される勢いだ。一方,5月末までに書かねばならぬ論文は未着手なままで,研究と教育が「逆相関」する日々が続く。

午後からは,サービス・イノベーションの教材作りで打ち合わせ。責任者である自分が展望を示さないと先に進まない状態になってきた。いろいろお手伝いいただいている同僚や学生たちに申し訳ないが,もうちょっと待ってほしい・・・。

6月の出張に備えて,ワルシャワのホテルを予約。バンクーバーも・・・と指定ホテルのサイトを見ると,一泊3万円近いスイートしか残っていない! ・・・だが調べてみると,すでに予約していたことが判明。メーラーが「故障」していた3月のメールを正しくリストアできないのがイタイ(PCごと1週間ほど入院したものの,完治に至っていない)。

最近入手した本

村田忠彦,鵜飼康東(編著),政策グリッドコンピューティングとマルチエージェントシミュレーション,多賀出版 ・・・グリッドコンピューティングでMAS・・・うらやましい話だ。もちろん,そこで何を走らせるかが重要なわけだが。

小川浩,林信行,アップルとグーグル 日本に迫るネット革命の覇者,インプレスR&D

ディスカバリーチャネル,アップル再生 iPodの挑戦,角川書店 ・・・DVD


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。