Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

百万回目の失敗

2008-12-09 22:10:12 | Weblog
人間に学習効果を期待してはいけない。特に酒を飲んでいるときには…。昨夜,目の前に出されたワインを次々飲み干してしまい,本日は夕方まで「死んだ」状態だった。とはいえ会議には出席。ずっと黙っていたのは,いつものことではあるが…。いずれにしろ,こういう日をこれまで何度経験したかを思うと情けない。だが,本当に反省すべきは,ワインを飲む前にあった。

昨日開かれた構造計画研究所のセミナーのプログラムは以下の通り。

 水野「消費者間影響関係をどう分析するか」
 森他「次世代型新製品に関する情報伝播と選好形成-iPhone のケース」
 中崎「"モノ"・"コト"の価値創造 ~感性工学的視点からのデザイン~」
 山本「クチコミとインフルエンサー」
 松村・山本「ブログにおけるインフルエンサーと最適情報格差」

最初に登壇したぼくは「自分だけが面白いと思っている」話を駆け足でしゃべった。参加者のアンケートの結果を見るまでもなく,多くの企業人の皆様の不評を買ったことは疑いない。ただ,ぼくのあとに続く発表がいずれもちゃんとしていたので,全体としては満足度が高かったのではないだろうか。そうであることを祈りたい。

それにしても,何だか最近,こういう失敗を繰り返しているように思う(飲み過ぎではなく,プレゼンの失敗のこと)。それは,話す相手のターゲティングや表現テクニックの問題だけではなく,もっと本質的な問題であると思う。つまりそれは,ぼくが研究上面白いと思うことが,一般のマーケターの関心とどんどん乖離していっているということだろう。

山本さんや松村さんの発表を聞いて思ったのは,もし人が少しだけ知識が上回る人とのリンクを選好していくなら,知識の多寡という一次元尺度にしたがったツリー状のネットワークができあがるのかな,ということだ。平均とは違うふるまいをする人が攪乱するので,実際はツリーより複雑な形になるのだろう。しかし,そんなことは,多くのマーケターにとってどうでもいいことであるに違いない。

ぼく自身がなぜそんなことを考えるかといえば,「見えないネットワークをどう見える化するか」(実はこれが自分の発表の副題)に関心があるからだ。だが,実務家にとっては,見えないネットワークは見えなくてもよい,のかもしれない。誰を狙えばどれだけ効果があるかがわかればよい。そうなんだよな… ただ,自分はどうしても知りたい。そういう変な思い込みが,しばしば失敗を招いているわけだ。

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2 コメント

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いえいえ (u)
2008-12-09 22:56:15
本当に「誰を狙えばどれだけ効果があるか」を知るには、見えないとダメでしょう。狙えないから。ですから、そういうことに興味を示さないで目先の何かに集中しなければならない人たちもいると思って、しっかり見える化を追求してください。

そして見えたら、見る方法がわかったら実務家はほっておかないでしょう。

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ありがとうございます (mizuno)
2008-12-10 00:42:01
ともかく自分が面白いと思うことをひたすら追求します。それにしても,独りよがりのプレゼンをするくせは,何とかしないと。
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