Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

博士課程の未来

2007-11-01 20:26:54 | Weblog
理工系の学会の例外にもれず,JAWS2007でも多くの院生たちが積極的に発表の機会を求めて参加していた。そこではさらに「メンタリング・プログラム」なる場まで設けられ,指導教員とは異なる先生から指導・助言を受けることができるという。後進を系統的かつ情熱的に育てるという点で,理工系は文化系と比べものにならない。だが,院生たちが今後,今回発表していたような研究を継続・発展させ,職業として活かしていけるかどうか。そこに見通しがないと,かえって残酷な仕打ちになるかもしれない。

偶然訪れた,地方旧帝大の理工系研究者らしき方のブログに「東大で大学院に入るのは自殺行為、それ以外の大学で大学院に入れるのは殺人」ということばが引用されていた。そのリンク先である文系研究者のブログによれば,このことばの出元は東大出身の経済学者のようだ。文系では,大学院を出て大学教員になるのは大変で,東大だってほんの少しましな程度だ,ということらしい。最初のブログの主は,これに対して「理系では東大の大学院へはいったからといって、事情はほとんど変わりません。東大の大学院生だけで、すでに多すぎなのです」とつけ加えている。

これらのエントリが書かれたのは2004年。その後,状況は厳しくなる一方のはず。国立大学の場合,生き残りのためには大学院進学者を確保していくことが必須だが,一方で大学教員への需要が構造的に減少していくこととのギャップは,誰がどうやって埋めるのだろう。理工系では修士課程に進むのは一般的で,その後多くの学生が企業に就職する。その後の博士課程についても,企業を受け皿に考えるしかない。だとすると,企業が欲するような博士を教育しなくてはならない・・・それは,企業がイヤで大学に来たような大学教員たちにできるのか・・・。

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