Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

計量的だが科学でないと

2007-03-13 16:53:00 | Weblog
JIMSから会員向けに『Webマーケティングの科学』が送られてきた。はしがきには「・・・科学として接近し,インターネット・マーケテイングの諸現象に関する計量的な理論構築を試みた書は,本書が初めてといっても過言ではなかろう」と書かれている。ウェブ・マイニング系の本は科学ではないのかと突っ込みたくなるが,マイニングは「計量的」であっても「理論構築」ではない,ということなのだろう。そちらの世界の人々の感想も,ぜひ聞いてみたいところだ。

いずれにしろ,本書には JIMS の壮々たる研究者たちが一同に顔を揃えている。その意味で,日本のマーケティティング・サイエンスの現況を概観するのによい本だといえよう。まず,執筆者はみんな「若手」である。ウェブを対象にすると,世代交代してしまうということか。うーん,少しはウェブ関係の研究をしないと,置いてきぼりを食うかな(いや,もうすでに,かも)。

あと,少し驚いたのが,実務家(調査会社)による論文がいくつもあること。経歴を見ると,博士号取得者を含む大学院出身者たちばかりである。日本のマーケティング・リサーチ業界は変わりつつある。これが学会の発展につながるトレンドになるかどうか。

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2 コメント

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Unknown (つくねパパ)
2007-03-14 13:14:59
私自身90年代から、「プロモーション」という言葉で置き換えられる「マーケティング」としての「Webマーケティング」という言葉に違和感を感じておりました。
その意味で、ご紹介いただいた著作の目次構成を拝見する限り、刹那的プロモーションでないマーケティングが論じられているものと想像でき共感します。
2.0とはいわないまでも市場環境激変ゆえ、「ユーザー主導の生産・流通・評価&プロモーション」への科学などに期待をいだき、私も本著にアプローチしたく存じます。ご紹介ありがとうございました。
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reply (mizuno)
2007-03-14 13:48:37
研究はなかなか現場に追いつきません。面白い実践をご紹介下さい。
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