Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

若者のクルマ離れ,その原因は・・・

2009-06-16 23:13:39 | Weblog
「週刊ダイヤモンド」6/20号は「自動車100年目の大転換」という特集だ。最初は当然のごとく,GM,クライスラーの破綻といった話から始まる。それはそれでいいとして,ぼく自身が興味を持ったのは中盤の「クルマの課題と未来」というパートだ。そこでまず,「自動車を悪者にした社会科教育 若者の変質が招く“ガラパゴス化”」という見出しに驚かされる。こんなところに,新たな「教科書問題」があったとは・・・。

週刊 ダイヤモンド 2009年 6/20号 [雑誌]

ダイヤモンド社

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よくいわれる「若者のクルマ離れ」については,自工会の行なった意識調査の結果がわかりやすい。40~50代では関心のある分野の7位である自動車が,20~30代では10位,大学生では17位に落ちる。その理由として,この記事はまず携帯電話の普及による支出増や趣味の多様化をあげたうえで,次に,92年以降強化された,小学校での交通安全や環境保護教育を槍玉にあげる。これが,クルマは悪者という意識を若者に植えつけたという。

そのような教育が「若者のクルマ離れ」を招いたというのは,どこまで本当なのだろうか。仮にこれらの教科書を見たあと小学生に態度変容が生じたとしても,その効果が10年以上も持続して,クルマへの関心を低下させることがあるだろうか・・・。この記事の少しあとに,あの「サーキットの狼」の作者・池沢早人師(さとし)氏のインタビューがある。ここでも若者のクルマ離れの理由を聞かれて,池沢氏は以下のように答えている:
・・・満たされた時代に育った今の若者は、クルマがなくても不便ではないし、ほかにおカネがかかることも多い。クルマに生活費の半分以上のカネをかけても、それに見合う生きている喜びみたいなものが得られればいいが、それほどの魅力を持ったクルマもない。
この最後の1行目に強い説得力を感じる。昨日のエントリでも書いたが,個別的・具体的な製品・サービスの魅力を考えないで,集計された需要だけを考えても仕方がない。池沢氏はいま,小学生が憧れそうなクルマが続々登場する漫画(とアニメ)を準備しているという。クルマ離れを打ち破るには,結局熱狂的なファンを生み出す傑出したクルマを構想するしかない。池沢氏のプロジェクトが成功することを祈るばかりだ。

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