Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

コカコーラの新型自販機

2009-04-04 11:36:44 | Weblog
コカコーラが新しい自動販売機の実験をしているというニュース。

コカコーラのインタラクティブ自動販売機
Coca-Cola Testing Interactive Vending Machines

前面が大きなフラットディスプレイで,iPhone のようなインターフェースで飲料を購入したり,CM を見たりできる。次のバージョンでは,ケータイへの音楽ファイルのダウンロードや,電子マネーでの支払をサポートするという。機能自体は驚くような話ではないが,iPhone に似ているというインターフェースが気になる。



このニュースを聞いて思い出したのが,以下の HBS のケースだ。

Coca-Cola's New Vending Machine (A): Pricing to Capture Value, or Not?

それは,その日の気温に応じて価格を変える自動販売機をコカコーラが開発しているという噂が流れて,世論から猛反発を食らったという,ブラジルでの話だ。暑いときに清涼飲料水の値段を上げるなんて,何て強欲な!というわけである。MBA向けマーケティングの授業の初年度で取り上げたので,懐かしく覚えている。

この問題には,Bスクールで用いられる通常のケースと同様,自明な解答がない。フェアネスが重要だ,という議論だけで終わらせず,では,寒くて需要が減るときに価格を下げるという自販機だったらどうだろう?同じように,消費者の反発を買うだろうか?などと議論して,戦略を考える頭をストレッチさせることができる。

このケースは,消費者行動について学ぶ際の教材として使うこともできる。プロスペクト理論や参照価格の話に基づいて,消費者の価格への反応が非対称になる可能性について議論するとか。何がフェアと感じられるかは,「文脈」に依存する。ブラジルで起きたことが,日本や他の国でも起きるかどうか議論してもいいだろう。

インタラクティブなサービスを評価するとき,あれができる,これができる,という話は,あまり本質的ではないように思う。むしろユーザが,自分が置かれた文脈でどう感じるかが重要だ。文脈を重視するのは,それ次第で同じことが快にも苦にもなるからだ。それは人生と同じく曖昧で,非常(非情に?)難しい(涙)。

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