Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

モデルが変わると結論が変わる

2006-12-13 01:41:56 | Weblog
当たり前かもしれないが,適用するモデルを変えると,得られる結論が大幅に変わることがある。どちらが正しいかをデータへの適合で評価できればいいが,そんなに違いがないとしたら,モデルの前提の妥当性で比べるしかない。一応,前提がより柔軟で,制約が弱いモデルのほうがよいとされる。

だが,そうなると線形より非線形,パラメトリックよりノンパラメトリックがよい,などということになり,モデルはどんどん複雑化し,計算時間が長くなる。そうしたコストを払いたくない場合,あるいは,オーバーフィットを回避したい場合,単純なアプローチを選ぶことになる。さらには,真実はより単純である,という信念でモデルを選ぶ場合もあるだろう。だが,これは美学であって,他者と共有できるかどうかはわからない。

モデルを変えることで結論が変わると,ある種のニヒリズムに陥る可能性が大きい。それを嫌って,モデル・アプローチから遠ざかる人もいるだろう。気持ちがわからないわけではないが,それは短絡だと思う。完璧なモデルはあり得ないが,少しでもよい方向に動いているかどうかは,議論する価値のあることである。ちょっとずつ,知識は進化し得るものと考えられるかどうか。

・・・以上が,週末に報告する「ワイン」研究の結論が以前と変わったことへの弁明。

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