Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

半年の学費600万円

2008-06-07 23:31:08 | Weblog

東京大学が社会人向けに「エグゼクティブ・マネジメント・プログラム」を今年秋から開講することが発表された。企業,官庁等から派遣された幹部候補生に,週2日,半年間のプログラムを実施。定員は25名。受講料は全部で600万円とのこと。

講師陣を見ると,経営学や経済学だけでなく,理学・工学から人文学まで,様々な分野の著名な先生方が顔を揃えている。つまり,ふつうのビジネススクールとは違い,学際的な教養に基づく「帝王学」のようなものを学ぶ場だということだろうか…。また,全講義の15%は英語になるという。

受講者のメリットは,こうした豪華教授陣から直接教わることに加え,他の組織で「半年600万円の投資価値がある」とみなされたエリートたちとのネットワークができることだろう。東大側も,このプログラムの「同窓会ネットワーク」の価値についてサイトで強調している。

東大にとってのメリットは,幹部の教育に「半年600万円」をかけることができる,成長性の高い(はずの)企業とパイプを作ることだろう。起用される講師の多くはすでに様々なチャネルで社会や企業に影響を与えている人々だから,大学としてはそれをバンドルするだけですむ。

では,他の大学はどうすればいいのか? ポーターのいうフォーカス戦略の典型は,特定地域への密着だが,狭い国土で東京一極集中が起きている日本では限度がある。コスト優位性はまだ追求の余地があるが,最後の決め手になるのは,やはり差別化だろう。

東大のプログラムが教養溢れる「帝王学」を目指し,KBS等のビジネススクールがより実践的な「幹部学」を目指し… ということなら「一兵卒学」というのはどうだろう? それじゃ高い学費を取れないだろうけど,少額の寄付を大量に集めたオバマ氏のようなやり方だってあるかも…。

マネジメント教育には,帝王学以外に,何か画期的な「別の道」はないだろうか?


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