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Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

マス広告はネット広告より効く?

2009-04-09 16:21:18 | Weblog
だんだん暑くなってきた。研究室では机を窓際に置いたので,とりわけ暑い。新たに導入した Mac 机は部屋の内側にあるので,早くそちらに移ればいいのだが,まだ準備が整わない。いろんな意味でスウィッチング費用が大きい。

さて,それはそうと

 テレビ広告と雑誌広告はネット広告より効果的

という記事が目を引いた。出所を辿ると,ある調査会社のサイトに行く。

 TV and Magazine Ads More Effective Than Ads on Internet

というタイトルが示すように,TVCM ,雑誌広告(4C1P),ネットのバナー広告の効果が実験室的な手法で比較されている。その結果,

1)雑誌が限られた時間で最も多くのインプレッションを提供する
  (TVの2倍,ネットの6倍)
2)広告想起率が最も高いのはTVである(雑誌の2倍,ネットの6倍)
3)バナーの3分の2は見られていない(アイカメラによる測定)

といったことがわかったという。さらに,露出量の差などを考えると,4C1Pの雑誌広告の「価値」は,30秒CMの83%,バナーはその16%にすぎないという。この指標,「価値」というからには,分子に広告費を考慮しているものと考えたい。では,分母にくる効果指標は何だろう? 文脈からすると,インプレッションか広告想起か?さすがに販売効果までは考えていないはず。

TVCM,雑誌広告(4C1P),バナー広告を,同じ指標で横並びに比べること自体,おかしい感じもする。「クロスメディア」が強調される今日,どれが効果的かという議論より,どう組み合わせれば効果的かという議論のほうが重要なはず。もちろん,この調査のスポンサーが Condé Nast (Vogue などを発行)と CBS であることを考えれば,ある程度は理解できる話だが。