ディズニーがソフトバンクの回線を借りて,来春携帯電話事業に参入するという。確かにディズニーには他にはない「資源」がある。経営学者が「競争優位性」と呼ぶものだ。それを生かしてどんな携帯ビジネスを展開するのか・・・それは携帯市場の競争にどういう影響を与えるのか・・・注目すべき動きだ。だが,それよりもいま,ぼく自身が気になるのは,競争優位性とは何かである。
産業組織論のハーバード学派と呼ばれる人々は,経済学が理想と考える競争を妨げる「市場構造」要因として,集中度,差別化,参入障壁をあげた。それをそのまま逆転させて,競争戦略を作り上げたのが,産業組織論から経営戦略論に転じたマイケル・ポーターである。だから,野中郁次郎のいうように,競争戦略とは競争しないようにする戦略なのである。
競争優位性に関する理路整然たる言説に漠然と感じる違和感は,現実の企業のほとんどが,そんなものとは無縁なところで競争しているという実感からきている。確かに圧倒的な差別化ないし参入障壁,あるいは競争優位なるものを築くことができれば成功するだろう。そりゃそうだ。だが,逆は真なのか?
経営戦略論は一握りの大成功した企業から得た教訓を語る。だが,それはその他の多くの企業にどれだけ役に立つのか? そうした多くの企業は早晩淘汰されるのだから無視してよいというのならわかる。だが,彼らは経済学に敬意を表するかのように,簡単に消えることなく,ぎりぎりの競争を続けている。一方で,競争優位を賞賛された企業は少なからず,その地位を持続できない。
こういう現実を踏まえた経営戦略論を構築すべきではないかと思う。特権的に競争から超越するのではなく,つねに一進一退の競争にさらされながら,ときどき(できればしばしば)顧客その他のステイクホルダーを喜ばせ,どっこい生き残っていくための戦略の研究。東洋思想や今西進化論に頼る気はないが,欧米での研究にその答えがあるとも思えない(わからないが・・・)。
産業組織論のハーバード学派と呼ばれる人々は,経済学が理想と考える競争を妨げる「市場構造」要因として,集中度,差別化,参入障壁をあげた。それをそのまま逆転させて,競争戦略を作り上げたのが,産業組織論から経営戦略論に転じたマイケル・ポーターである。だから,野中郁次郎のいうように,競争戦略とは競争しないようにする戦略なのである。
競争優位性に関する理路整然たる言説に漠然と感じる違和感は,現実の企業のほとんどが,そんなものとは無縁なところで競争しているという実感からきている。確かに圧倒的な差別化ないし参入障壁,あるいは競争優位なるものを築くことができれば成功するだろう。そりゃそうだ。だが,逆は真なのか?
経営戦略論は一握りの大成功した企業から得た教訓を語る。だが,それはその他の多くの企業にどれだけ役に立つのか? そうした多くの企業は早晩淘汰されるのだから無視してよいというのならわかる。だが,彼らは経済学に敬意を表するかのように,簡単に消えることなく,ぎりぎりの競争を続けている。一方で,競争優位を賞賛された企業は少なからず,その地位を持続できない。
こういう現実を踏まえた経営戦略論を構築すべきではないかと思う。特権的に競争から超越するのではなく,つねに一進一退の競争にさらされながら,ときどき(できればしばしば)顧客その他のステイクホルダーを喜ばせ,どっこい生き残っていくための戦略の研究。東洋思想や今西進化論に頼る気はないが,欧米での研究にその答えがあるとも思えない(わからないが・・・)。