Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

ようやく一息・・・

2007-11-09 21:18:22 | Weblog
昨夜は消費者間相互作用研究会。大事な約束を延期し(),ぎりぎりまで分析して発表に臨んだ。複雑ネットワーク上のクチコミ伝播モデルにそれなりの独自性を加えることを狙ったが,その結果は Watts and Dodds 2007 が主張する,次数中心性の高い(知人数が多い)ハブを狙う「インフルエンサー・マーケティング」が期待されるほどの成果差をもたらさない,という説を裏づけるだけ。独自の発見には至らず。

これだけでは,せっかく参加してくれた聴衆に申し訳なかったが,そのあと山本さんの(松尾さんとの)研究の報告が救いになったはず。選好形成と信頼形成の相互作用のモデルが,ネットコミュニティのログデータで実証されている。さらに,独自の視点のブランド診断指標が提案されている。テクニカルな点からブランド戦略への含意まで,聴き手のアドレナリンが大いに分泌されて活発な議論が起きた。

上述の自分の研究はまだまだ手がかかるが,そろそろもう一つのプロジェクトに着手する必要がある。その前に,査読とかいろいろあるにせよ・・・。

今日の午後は「実習」最後の日。各チームのプレゼンは着実に成長している。審査員として参加してくれた同僚に講評をお願いした。たとえば競争優位性や企業戦略の考慮が足りないという指摘は,そのとおりだろう。その一方で,実務家に講評を求めたら,違うことをいうだろうなと想像する。長い時間をかけて考えた学生たちは,学者よりは実務家の感覚に近づいた。そのことを恥じる必要はない。

本日届いた本

Nigel Gilbert, Agent-Based Models, Sage Pub. ・・・ コンパクトなのが特徴の Sage の入門シリーズに,エージェントベースの解説書が加わった。