Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

相関係数はいくらあれば

2007-03-27 11:14:58 | Weblog
心理統計学者のメーリングリストで,相関係数はいくらあればよいかが議論されている。二乗して決定係数と見たとき,全変動の何%を説明しているとうれしいか,という問題だ。あくまで「主観的」な感覚なので,いろいろな意見がある模様。

回帰分析の決定係数が低すぎると,ことあるたびにコメントされる先生がいる。では,いくらあればいいのだろうか? 統計学的にきちんといえるのは,相関が0ではないという帰無仮説が棄却されたかどうかである。相関係数が0.01だって,サンプルサイズが十分大きければ,この検定はパスする。回帰係数の「有意性」だって,そういうレベルで検定しているわけだから…。

上述のメーリングリストでは,損失関数を定義して,という提案もなされている。相関の低さとは予測の失敗であり,それによる期待利得(損失)を計算したらどうかと。お金に換算したら,判断しやすいだろうというわけだが,いくらだったらうれしい,悲しいというのは,結局,個人的で主観的な感覚である。

統計学は,最後の最後できわめて主観的な意思決定に行き着くところがうれしい。