愛しきものたち

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大岩山日石寺・不動明王磨崖石仏

2009年11月03日 | 石仏:その他

富山方面に行ったら石仏ファンにはどうしてもここは逃せない処。

以前からどうしても行きたかったかったのですが、今回立山の巨杉を訪ねると同時にこの地も訪問することにした。

富山市内で宿を取って朝一番の訪問となったここはあの立山町の隣、上市町大岩日石寺。

JR富山駅近くのホテルから約30分、立山連峰の裾野にあって「大岩のお不動さん」と呼んで親しまれている余り聞きなれない真言蜜宗の総本山だそうです。

長閑な里山、大岩集落のドン突き、山裾の斜面を拓いて境内があって、一気に車で境内の駐車場にと車を登らせる。

総本山にしてはさほど広くない境内から一段上に上ると左手正面に鉄筋コンクリート製の大きな本堂?(不動堂)があって、その内陣の奥壁にこの磨崖石仏が刻まれている。

現在もしっかり信仰の中に有って、どこかの観光寺院のように拝観料を取るでもなく又写真撮影お断りでもなく実に嬉しいが磨崖仏の前には大きな護摩壇があってその分室内は薄暗く、とてもストロボなしでの撮影は無理、勿論このような信仰の場で三脚を据え付けるほど無粋でもないので写真の出来は期待できない。

寺伝では神亀2年(725年)、行基(ぎょうぎ)が北陸伝道の折、一大巨岩を発見、不動明王ほか四体の尊像を刻みつけたのがこの寺の開基と伝えている。

薄暗い上に、まさに信仰の対象としての石仏ゆえそれほど真近に近づく事も出来かねるが、その迫力は並ならぬものが有る。

凝灰岩の岩山に突き出た大岩に、高さ6m幅11m奥行き2.2mの龕を穿ち、上前方に約20度傾斜した面に五体の仏たちが彫られている。

中尊不動明王坐像は特に見事で、半肉彫り、像高3.13m、大きさもさることながら、ずば抜けた迫力で見る者を圧倒させる力強さがあって今でも脈々と息づいているようにさえ感じられる。

脇侍の制多迦童子、矜羯羅童子は共に像高2.14m、あって、この不動三尊が平安後期当初のものであるといわれ、間にある阿弥陀如来座像と行基菩薩坐像は後の追刻だと言われています。

磨崖仏に覆いをかける形で本堂が建造されていて風化磨耗も少なく、石仏としての不動明王では規模といい、その出来栄えの見事さといい、最高のものだと言えます。

ただ惜しい事に室町時代に上杉勢の兵火に遭い、また昭和42年(1967年)に本堂が火事に遭ったためか?、向かって左の2体、制多迦童子像、行基菩薩坐像は共に損傷が激しく判然としない。

昭和49年には大岩日石寺磨崖仏として国の重要文化財に指定されている。 

撮影2009.11.1

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