この石仏は石仏自身の歴史的価値よりも、周りの景観と溶け合って醸し出す情感に得も言われぬ美しさを見ることが出来る石仏です。
京都嵯峨野の大覚寺・・・より、すぐ東側の広沢の池は古来観月の名所として知られた所でもありこの嵯峨野の風景を依り情感豊かに見せている。
ちょうど鯉上げが終わったばかりの広沢の池は水を抜かれ、その薄黒い沼底を鈍い冬の光に晒せていて、いかにも冬の嵯峨野の風情にピッタリでした。
池の西岸には篇照寺という平安時代の寺院が有ったらしく、池の中には観音島と言う小さな島も設けられている。
その小さな島に、この十一面観音石仏がはるか空を見据えるようにたたずんでいる。
石仏は像高1.6mに安山岩の丸彫、頭上には十一面の化仏、脇には千手を持っている。
寛永18年(1641)造立とあり、元々この地に有ったものではないようです。
しかしこの石仏には広沢の池と嵯峨野の景色がよく似合う。
撮影2006.12.23