Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

ジョンハーリンルート核心部

2016-04-01 | アウトドーア・環境
車中のラディオは、福島に住んでいるドイツ人英語教師ユルゲン・オバーボイマーのインタヴューだった。母国語ドイツ人であると思ったが英語訛りがあるのでどうした人かなと思っていた。日本人の奥さんも原告団の一人らしい。菅直人が本物の英雄に映ったようだ。今回本が出るということで、三十年の長い滞日生活から福島つまり二人の「幸せの島」の今を語っていた。

その前には四月に行われるアビテューアの音楽の課題となる「魔笛」、バルトークの管弦楽のための協奏曲、ブラームスのピアノ五重奏曲ヘ短調の中からモーツァルトを選んで解説していた。面白かったのは、作曲技法の問題よりも、夜の女王を専制君主の典型としてフランス革命以後の啓蒙家ザラストロに対照させて定義付けしていたことで、その構図からすると作曲家の視座が明確になって良い。バーデン・バーデンで解説にあったモーツァルトの作曲構造のパターン化と合わせて見直すと色々と不可解とされている構造も腑に落ちることが多い。20世紀前半のモーツァルト研究とは大分違ってきているようで、ヘンデルやハイドンマンハイム楽派、イタリアの作曲家の流れの中でその天才性が綺麗に収まるようになってきた。20世紀後半のサウンドの新しさなどが齎したものよりもこうした楽曲解析の流れが楽曲の隅々までの楽譜の読み方を一挙に変えてしまう。目から鱗である。内田光子のモーツァルト演奏がそのピアノの響きと同時にとても落ち着いて万人をうならすようになってきたのもこうしたモーツァルトをめぐる状況が変わって来たからであろう。

1966年にアイガー北壁に開かれたジョンハーリンルートについての記事が再び出ていた。直登ルートを開拓中にそこから滑落したハーリンのその息子と一緒に登ったロベルト・ヤスパーの記事として二回目である。そのルートの核心部でもあるザイルリスの写真が出ている。有名な雪田の蜘蛛の巣といわれる真下にある文字通りザイルの太さの割れ目で、氷が付いているのでアイスクライミングしているが、ミックスとしてはとても難しそうだ。そしてそれ以上に難しいのは頂上直下の岩壁でまだフリー化がされていない。勿論落石などの条件から厳冬期しか登られていないので困難なのだろうが、もともと数の少ないハーケンで突破されていて、常時雪が付いている凹角になっているのだろう。

興味深いのは、もともと別の隊であったドイツ隊がアメリカ隊に合流して、その死を無駄にしないように最後まで協力して頑張っての成果だったわけだが、ドイツからはシュテュツガルトとウルム間の職人たちのグループだったということで、彼らがドナウ周辺の石灰岩のクライミングに慣れていたことが分かる。そういえば先日映画アイガーサンクションで素晴らしい演技をしていたジョージ・ケネディーが亡くなっていた。航空機事故シリーズなど体の割に動く豪快な数々の役柄が印象深かった。

今週二度目に走りは、沢沿い往復である。ショーツ姿で二度目だ。足に違和感はあるものの車が通るような林道のデゴボコでは捻り気味でもそれほど痛みを感じなくなってきた。普通に走れるようになりそうだ。二日前よりも良くなっている。坂道を混ぜた方が治りが早いのかもしれない。膝が室内でも曲がりきらないのでまだ要注意だが、もう一息である。大分体を動かすのが楽になって来た。



参照:
Die Wand der Wände, Bernd Steinle, FAZ vom 22.3.2016
雪よ、山よと彷徨いてしまう 2011-01-08 | 雑感
夢を叶えるプラットホーム 2010-12-22 | アウトドーア・環境
楽天主義に誘惑された 2012-07-12 | 歴史・時事
黄金の十月の美しい残照 2011-10-16 | アウトドーア・環境
世界を雪崩で洗い落とす 2008-10-25 | マスメディア批評
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