Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

スレンダーながら多層的な23歳

2014-10-16 | ワイン
二種類のワインについての覚書である。一つは、先日入手したザールのアルテレーベンである。ファン・フォルクセン醸造所のリースリングは、天然酵母の拘るワインとして決して質が高い洗練されたリースリングではないのだが、独特の拘り方で期待させるものが多い。特に2013年は健康な葡萄が余り収穫できなかったゆえに十分なラインナップの辛口リースリングは発売されていない。その中でベーシックなアルテレーベンを見れば、その質が評価できるのだ。

開けて驚いたのは、濁り酒風のそれではなくて比較的清潔な感じだったことだ。そして鼻についてくるのが、糞尿のような用土臭である。個人的には天然酵母に拘る典型的な田舎のワイン農家で購入することがないので、初めての体験なのだ。しかし、それは最初だけで決して味は悪くないどころか、2010年から知っているその中で最高の洗練さに至っていると感じた。要するに糖が沈んでいるような感じではないのである。

ここまで試飲すれば、上位のリースリングは可也期待できる。そしてその酸は、量感だけでなく、典型的な酸の年のそれであり、2010年に通じる酢酸的なそれも混じっているのである。如何に2013年が酸の年であるかの傍証の一つである。シャルツホーフベルガーを早いうちに試して、ゴールトベルクの期待度を認定してみよう。

もう一つは、ビュルクリン・ヴォルフ醸造所の2013年ゲリュムペルである。これは、開けて直ぐに花園のような香りが漂うが、決して蜂蜜ではないのである。しかし、天然酵母香か用土的な匂いがするのだが、とても清潔な香りなのだ。この差異が、方や傷んだ葡萄からの酵母醸造であって、方や健康な葡萄の酵母を使ったことの証としてよいだろう。皆が知っている天然酵母醸造というのは前者であって、後者のような清潔で都会的なそれはどこにも存在しない。世界で最も高価なリースリングを輩出する技術なのである。これで2013年の酵母の特徴は用土臭さと推定できる。

それにしても四半世紀ほどゲリュンペルを飲んでいるがこの2013年に匹敵するのは2007年か、もしかすると2001年ぐらいにしかなかったのではないだろうか。そして、その味筋はホーランダーを通して一瞬の赤いチェリー風味へと落ちていく。グローセスゲヴェックスが50ユーロ以上でしか入手できなかった2013年物のPCとしてこれはとても貴重なリースリングである。リスト価格も他の醸造所のグローセスゲヴェックスに近く、ロベルト・ヴァイル醸造所のラーゲンヴァインと同じである。そのテュルムベルクやクロスターベルクとは比較できないほどの複雑さと喜びを与えてくれるのである。

なるほどゲリュムペルは地所としてはただのPCでしかないかもしれないが、その葡萄の質や酸の分解などで決してひけをとらない高品質のリースリングであるばかりか、その天然酵母の扱い方で一際抜き出ているのだ。

八月ごろのぴちぴちさを保ちながら、落ち着いた多層性を示すようになってきている - そしてスレンダーでありながらのこの躍動感!女性でいえば23歳前後だろうか?もう半年ぐらいして25歳ぐらいの感じを試してみたいのだ。間違いなく健康な色香が増しているに違いない。



参照:
解禁なったPCリースリング 2013-07-05 | 試飲百景
貴重なワインのお詰め合わせ 2014-08-20 | ワイン
ピクニックにタブレット 2014-08-15 | 生活
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