パンダ イン・マイ・ライフ

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音楽と本、そしてちょっとグルメなナチュラルエッセイ

すごいトシヨリBOOK

2018-12-16 | book
「すごいトシヨリBOOK」を読んだ。新聞書評から。副題は、トシをとると楽しみがふえる。2017年8月刊行。

著者は池内 紀。1949年生まれのドイツ文学者、エッセイスト。自分なりの楽しく老いる秘訣を記録した本。

77歳の著者。人生下り坂の楽しみは、老いと向き合うということから始まるという。3年単位で予定を延長している。つまり3年後はいないという前提のもとなのだ.

老いとは70歳が目安。これから急速に老いに向かう。その老いに抗うのではなく誠実に向き合え。つまり現実を直視せよと語る。

老いの特性として
群れたがる
群れるのをやめて、一人一人が自立しよう。一人一人が過去を背負い、一人一人が自分の老いを迎えるのが本来。寂しいから群れても、過去を基本にしているのでオリジナルの物など出てこない。力が弱く、持続しない。自分に見捨てられ、言葉に見捨てられ、世間から見捨てられるのが、老いの特性。だから自分の世界を作れ。まだまだやれる、やるつもりでも周りが許してくれないのが、老いだ。

自分のルールをつくってみよう。
お金を使わない術。無料の〇〇をメモを作ろう。著者はお祭りリストをつくっている。

老いと病。
延命治療。60年70年80年も使ってきた人体のいたるところに故障があるのが当然。治療を始めると際限なく治療が続く。死と言うのは恵みであり、古いものと新しいものが入れ替わる非常に大切な季節の変わり目の様なもの。

自立のすすめ
テレビからの自立、元同窓、元同僚など元との縁を切る、夫婦からの自立。

老いの楽しみ
おしゃれを楽しもう。郵便局へ行くにも着替えよう。トシヨリは臭う。季節が変わればクリーニング。コンビネーションを楽しもう。老いたからおしゃれを楽しもう。
ワインの楽しみ。ラベル。フランスのワインと原発。おかきのパッケージ集め。ポン菓子。ホテルコレクション。

リタイア後の日々。惰性になりがちな日常。新しいものをいろいろ仕掛けてみる。デッサン、ギター、将棋、それも若い時にやっていたことを本格的に。新しいものは歌舞伎を勉強。お金のかからないのは昔読んだ本を読んでみる。再読には新しい発見がある。

眠るのにもエネルギー。そのエネルギーが少なくなっているから、すぐ目が覚める。朝寝、昼寝、夕寝、夜寝、1日4回眠ればよい。眠りは幸運の使者。心の安らぎは眠りによってもたらされる。

老いの旅
旅の工夫。一日増やす。自分で作る。作るときから旅が始まる。欲張らない。余裕を持って。お土産は地元のスーパーで。旅の記録を作ろう。五感の刺激には旅。準備、行く、帰っての3回楽しむ。
お世話になったシモ。〇〇パッド。オムツしてデートに出かける八十歳。自分の体が思うようにならない。シモと喜劇・滑稽。

老いと病と死。
薬は手助け。直したのは自分の力。
老いとは寄り添え。病とは連れ添え。医者は限定利用。全部おまかせにしない。健康に振り回されるな。
健康診断の不合理。健康な若者を基準。検査を受けて心配事を増やすのは馬鹿馬鹿しい。医学には限界がある。老い、死を止めることはできない。老いから死に至る難しさ。穏やかに死ぬのが難しい時代。本人が準備して用意して、意思を伝えることが必要。終末期医療の倫理と経済。死を選ぶことができるように。自分で自分の人生はここで終わる。そんな考え方があっていい。

あとがきで著者は、書かなかったことが二つあるとし、一つは蓄えや健康への生活設計。これは各自の知恵と工夫しかない。それから交通、犯罪、消費、貯蓄に関する現代の安全対策。

タイトルとは異なり、すがすがしく老いと向き合う本。決してすごくない本だ。読んだ良かった、ためになった。



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