表紙からして、ネット・Facebook(色味的に)推奨しまくり!の一冊と思われそう(実際そんな本は多い)
だが読み始めると、第1章のメイン・テーマは、SNSに広告費シフトし大失敗したペプシ・コーラ!
2010年に、スーパーボールなどのテレビ広告をすっぱり辞め、SNSで消費者のエンゲージメントに移行したものの大惨敗...
翌年はまたスーパーボールに戻った。
続く章も、
第2章 会話の前菜:何が語りたいブランドを生み出すのか?
第3章 インフルエンサー:会話の中心にいる人たち
第4章 クチコミとマディソン街の出会い
第5章 メディア再考:クチコミのプランニング
第6章 何事もバランスが肝心:ソーシャルメディアの適所
第7章 チャネルとしてのクチコミ
第8章 ネガティブなクチコミは警戒すべきものか、それとも消費者からの最高の贈り物か?
第9章 新しいソーシャル・マーケティングをイメージしよう
そう、この本は「クチコミ」マーケティングについて、語りつくした一冊なのだ!
よく見るとタイトルも、
The Face-to-Facebook
ではなく、
The Face-to-Face Book
つまり、フェイス・トゥ・フェイス、の本(笑)
サブタイトルも、Why Real Relationships Rule in a Digital Marketplace
だからこそ、この本は価値があると評価されていて、
Winner of the American Marketing Association’s Berry-AMA prize(←凄い)
著者のエド・ケラーはアメリカWOMMA(Word of Mouth Marketing Association)の初代会長に選ばれている。共著者のブラッド・フェイとともに、「トークトラック」を開発(消費者間の会話をオンラインとオフラインで並行して測定)
当ブログで最も刺さった部分が2つ。
どちらもテレビまわりのネタ。
まずは、バーでわいわいスポーツ中継を観ることの価値づけ、というよくテレビまわりで登場するネタ(第5章)
その疑問に、クチコミを核にすることで見事に答えているのだ!
このバーでのスポーツ視聴(共同視聴)が、クチコミを最大化する、と。
その場でのテレビCMから起因するクチコミの量は、何と3倍!
テレビ視聴率には組み込まれないこの視聴形態がこれほど効果的とは!
そして2つめ。
こちらは リーマンショック後のアメリカで、広告費を削る・削らない、による影響(第8章)
少なくともクチコミ、という点では広告費を削らなかった企業は早々にネガティブ・スパイラルを脱出。
削った銀行はその後も1年間、ネガティブなコメントに苦しみ続けた。
広告費がこれほどクチコミに有効だとは!
また全章を通して訴えていたのは…
ソーシャルメディア全盛の時代といいつつ、オフライン、オンラインを「同一視」することへの 異議。
ある部分では、ソーシャルメディアの誇大広告、という表現すら登場する
結論:SNS時代だからこそ、原点「クチコミ」を重視すべきワケ、を理解できる一冊。