1999年 秋に過去のものとは全く違う方向性のサイキックSFの傑作が登場した。
それは若手2人組、ウォシャウスキー兄弟による、マトリックスTHE MATRIX。
現実にはない、仮想現実の中での闘いを描いた。
翌年、今度は 巨匠 クローネンバーグによる、イグジステンズ eXistenZ が登場。
こちらは脊髄に接続することで(ゲッ!)こちらも仮想現実を経験するゲーム世界。
そして10年がたち、その系譜に連なるのが、このインセプション Inception、かと。
監督・脚本・製作、クリストファー・ノーラン。
今度は仮想現実ではなく、もう少しリアリティがあって、「夢」に入り込み、これをコントロールすることで、インセプション =思考操作 しようとする者たちの物語。
(そして、それがもたらした悲劇)
この「夢」に入り込む世界。何重(ここがポイント!)にも巡らされた「迷路」の中で同時進行していく。
このため、鑑賞する時は、「集中できる状態」であることを強くお勧めしたい。
間違っても、徹夜明けなんて状態は避けていただきたい。
下手すると、あっという間に置いていかれる可能性も?!
渡辺謙やディカプリオもいいけど、個人的には(500)日のサマーで注目され抜擢された ジョゼフ・ゴードン=レヴィットのサポート具合が好印象(昔のマットデイモンに対してのベンアフレック的存在?)
また、ファム・ファタール的に現れる マリオン・コティヤール の存在感が抜群。
ちょっとした仕草、だけでなく、背筋や二の腕などがちょっと映リ込むだけでも、その美しさが際立つ。
色気の全くない(失礼!)エレン・ペイジをもってきたのも、ここを際立たせるためでないかとも思えてしまう(笑)
鑑賞後の印象は、ノーランの出世作「メメント」の印象に近い。
なにか混沌とした、ザラザラした感触が残る。
時間がたつにつれて、アタマの中が整理されてくるのだけれども。
冒頭に紹介した2作と違い、今作はそうとうに注目が集まっているので、この「ザラザラ感」に若干不満を覚える向きもあるやとは思う。
結末がすっきりしているわりには、微妙に映画の醍醐味のひとつ「スリル感」の快感、をはずしているのだ。
私的には、この独特の世界観が嫌いではない。
ので、今度はDVD鑑賞で、時々巻き返したりして何度も見直すことを楽しみにしている。
ここもやはり、まるで「メメント」(笑)