風景を切り取る

2020-12-08 22:11:54 | 大磯の家


「大磯の家」ができあがり、お引渡しとなりました。この日は朝から小雨で、家の背後の地山は雨に煙っていました。
東京から離れ、このように山が身近に見える環境は、その日その時に一期一会の風景の見え方があります。
端的に言えば、この家の設計は「一期一会」の風景をいかに楽しむか、ということにあったように思います。
朝起きて最初に見る風景であるとか、顔を洗っている時とか、昼間に和室で新聞を読んでいる時とか、一日のなかにありふれているごく些細な時間が、豊かなものであるように。



庭と建物が一体となった家。それが家づくりの当初からのコンセプトでしたので、計画の初期段階から造園家を交えて庭づくりの打合せも重ねてきました。
こうして建物はできあがったけれども、庭がこれからだから、まだできあがった感じはしません。
年明けから始まる庭づくりが楽しみです。

そんなことを、東京で建設中のお施主さんとお話しした際に、「家ができあがってもまだ楽しみが残ってるなんて、いいですね」と言われたのが印象的でした。
完成した時が一番良いのではなくて、だんだんと良くなっていく家って、いいですね。
そうすると、家のなかで使う道具や器も、気に入ったものを選びたくなる。
良い道具や器は、長く使うのに耐えるだけの質感があります。
身の回りの身近なものが、じんわりと趣きをもって感じられるような場所。
そういう場所をつくりあげるのが理想です。



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