箱根プリンスホテル

2016-09-12 18:53:41 | アート・デザイン・建築


箱根プリンスホテルは、昭和の建築家・村野藤吾の代表作のひとつ。箱根の芦ノ湖畔に建つホテルです。
現在では「ザ・プリンス箱根芦ノ湖」となっているようですが、建築に携わる者にとっては、箱根プリンスという言い方がしっくりきます。

1978年に開業。箱根に多いいわゆる老舗とも違うし、新しい現代的なホテルとも違います。つまりは、ちょっと中途半端なのかもしれません。
にもかかわらず、嫌なレトロ感がなく、「ここにしかない場所」という感覚が色濃く漂います。
それもこれも、村野藤吾の独特のデザインのなせる業。建物のみならず、家具までデザインしてあります。
気取らず、ゆっくりと過ごせる場所。低い椅子に子供も気軽にちょこんと座ります。



各部屋には、奥行きのたっぷりとしたロッジアが備わっていて、雨が降っていても気持ちよく外でコーヒーが飲めます。
写真をよく見ていただくと、ガーゴイルという雨落としがついていて、そこから屋根の雨水がそのまま地面に流れ落ちる仕掛け。
なかなかワイルドですが(笑)、地面から生えてきたような建物の造形と、どこか深いところでつながる感じがします。

曲面を生かした袖壁と深い庇で、ロッジアは包み込まれるような安心感があります。
そこから見える風景はこれ。ホテル敷地内の雑木林から芝生につながり、柵も何も無くダイレクトに湖へ。
洋風ホテルなのだけれど、松も多く残る風景は、どこか菱田春草の日本画のような趣。

写真ではわからない居心地の良さがあります。

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