京都の桂離宮に心奪われた人物は多くいますが、そのなかでも有名なのはドイツ人建築家ブルーノ・タウトの逸話です。
ブルーノ・タウトは、ナチスの迫害を逃れるため渡航先として選んだ日本で、京都で、桂離宮に出会いました。
タウトは桂離宮を「泣きたくなるほど美しい」と表現し、その記憶はイメージとして図像化され、一冊のドローイング集にまとめられました。
このドローイング集が、これまたとても美しく・・・。
少数販売の希少本ですが、たまたま古本屋で発見して手に入れたときは、ぼくも泣きたくなるほど嬉しい・・・とまではいかないまでも(笑)、宝物?にしている本のひとつです。
桂離宮では、風光明媚な自然を模した庭園に、簡素古朴を装ったパビリオンが点在しています。それらの建物のモチーフは農家であったりあずまやであったり。
ですがタウトのドローイングではそれらの姿形を再現するのではなく、むしろその断片のイメージをつかみ取って表現しています。
独特の飾り模様のついた窓辺から見える風景と、それらがつくりだすイメージとは。
桂離宮では、物事の見た目の姿そのものより、それらのものが暗示するイメージの連想にこそ主題がある。そんなことをタウトのドローイングは指し示しています。
日々の住宅の設計のなかでも、そんなイメージの広がりと豊かさを宿すことができたら・・・と、そんなことを密かに思っています。
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