コロナのワクチン接種をして、ウワサ通りにちょっと調子を崩した時に、なんとなく映画を観たくなって、ひさしぶりに「かもめ食堂」を観ました。
かなり以前に一度観たきりで、断片的な映像は鮮明に覚えていたのだけれど、ストーリーはあまり覚えていなくて、どんなだったかなあと。
学生のときに、一番好きな映画は、と聞かれれば、即座にアンドレイ・タルコフスキーの作品と答えていたと思います。
暗喩に満ちた映像は観ているだけで引き込まれ、ストーリーは難解なのだけれど、これこそが表現体だと思っていました。
もちろん今でもそのような感想はあるものの、それから20年以上も経った今では、もう少し直接的でわかりやすい映画は、素直に楽しいなと思うようになりました(笑)
ひさしぶりに観た「かもめ食堂」は、ココロにすぅっと入ってきました。
シンメトリカルな画面構成に映し出される料理や事物。自然の光に照らされて静かな存在感があります。
そして、BGMがほとんどないんですね。揚げたフライをさくっさくっと包丁で切る音、コーヒーをこぽこぽ淹れる音の心地よさ! 料理にまつわるあらゆる音がシンプルに表現されます。
あ~、これもヒュッゲだったんだな、と今になって思います。
そう、ぼくの設計する住宅のテーマは「ヒュッゲであること。」
窓辺に居るだけでほっこりできるような、そんな場所をつくりたいのです。
そんなことを考えるとき、あらためてお手本のように思える映画でした。
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