学校の建築見学会で、昭和の巨匠・村野藤吾の建築作品を見学しました。日生劇場、旧千代田生命本社、ルーテル学院大学という、円熟期の3題。
僕にとって村野藤吾との出会いは、少年期に故郷の京都の自宅近くにあった宝ヶ池プリンスホテルを目の当たりにし、その独創的な佇まいに衝撃をうけたことに始まります。
以来、学生時代からずっと羨望の眼差しで作品集をめくっていたことを覚えています。特に晩年になるにしたがって強まっていく、有機的で自由な造形、そのなかに埋め込まれていくあらゆる物事のイメージ・・・。その暗喩的な雰囲気がとても好きでした。
日生劇場が漂うのは深海か天上か。ルーテル学院大学は大地に還ろうとしているのかそれとも大地から生まれつつあるのか。
不思議なイメージを自由に漂わせる作品を前に、それらの作品を評しようとすると、どうも我々の手からこぼれ落ちていくような気がします。