
武蔵野市で建てている住宅のお話です。
東京都武蔵野市の北部に位置する住宅地は、ゆったりとした広さの敷地の家が多く並びます。
落ち着いた雰囲気の界隈。
碁盤の目できっちりと直角に道路が交差する平坦な街並み。どこか、僕の生まれ故郷の京都とイメージを重ね合わせながら、建設現場によく足を運びました。
偶然にも、施主のご夫妻も京都で大学生時代を過ごしたとのこと。かといって、「京都風で」という注文があったわけではありませんが、僕の心の奥底には、そんなイメージが少し芽生えたのかもしれません。
以前にこのブログでも書いたことがあるのですが、僕にとっての京都のイメージとして「秘められた」ものへ思いを馳せる文化があるように思います。
それは、小中学校への登下校途中に、街並みから肌で感じたことでもありました。
秘めやかな佇まい。ゆったりとした敷地でありながら、どこかそんな印象の佇まいの家になりました。
その奥にある庭木と明るい空間の広がりが、道路から少し垣間見える。そのさじ加減が、僕にとって大事でした。


居心地のよい窓辺を。
いつも設計で大切にしていることを、この住宅にも盛り込みました。
自然の光に照らし出される、ごく身近な事物の趣を大切にしたいと思っています。
植栽は、お供え物のように植わっているのではなく、生活のなかで身近に感じられるようにしたいと思っています。
主張の少ない控えめなデザインのなかに、寸法と配置と質感にこだわって、丁寧につくった住宅です。
家の工事は終わり、いよいよ植栽の工事に向けて準備が始まります。

