
朝霞台で建設中の住宅。いよいよ工事も大詰めです。中庭を囲む大きな窓枠も濃く着色され、壁や天井にケイソウ土が塗られています。
幹線道路に面しているので、そちらには防護するように壁主体とし、中庭に向けては大きく開く計画。
現場では、外構工事に向けて細かい部分の確認や打合せが続きます。
ブログ会社の閉鎖にともなって、長年お世話になったブログ会社から移行しました。
なんだか使い慣れないなあ~(笑)
徐々にペースを上げながら書いていきたいと思いますので、今後もご愛読の程よろしくお願いいたします。
埼玉県朝霞市で建てている住宅。大工さんの工事が佳境にはいってきました。下地を組み終わり、一部、内装用の石膏ボードが張られ始めると、空間のシルエットがはっきりしてきます。この敷地に描いた居場所のイメージがうまくいっているかどうかが、徐々に表れることでもあります。
どのような敷地であっても、何も無い状態ではすべてが一望のもとに見渡せて、何かすべてがさらけ出されているような印象があります。僕がやろうとしている設計は、そのような場所に「奥行きを与えていく」ということだと思います。奥行きというのはずいぶんと抽象的な言い方になってしまいますが、見た目についての奥行き、ということも言えますし、さらに、目には見えない気持ちのうえでの奥行き、ということも言えると思います。
旅行に行った際に、現代建築を見て回るよりも、古くから残っているものを見る方が僕の性にあっているようです。きっと、カタチとしてのデザインを見たいというよりも、先ほどお話した「場所の奥行き」を感じ取ることを愉しみたいからだと思います。
旅行先では、場所の奥行きを感じ取ることを愉しむ。
設計の仕事では、場所に奥行きを与えることを愉しむ。
そんなイメージです。ですから、仕事で現場に行く際には、奥行きを与えることができているかどうか、じっくりと神経を尖らせる、という感じです。
夏真っ盛りの暑い日、「欅の家具のある家」が引き渡しになりました。この家にかかる大きな屋根は、1メートルを超える大きな庇をゆったりと出し、陽射しから室内を守ってくれます。
僕の設計の信条として常に大事にしていること、それは、美しく居心地の良い窓辺をつくりたい、ということです。「居心地の良い」というのも抽象的な表現ですし、「窓辺」というのも、窓そのものではなく窓付近を指すわけですから、曖昧です。「居心地」とか「窓辺」といった抽象的なことについて、これまでの住宅設計の仕事を通してひとつひとつ、自分の血肉化するように努めてきました。この大きな住宅では、その考え方をさらに展開してカタチにしました。
間取りは凸凹しているのですが、その分、多くの窓辺のコーナーが生まれます。大きな庇と大きな壁は、それらの窓辺のコーナーに落ち着きと安心感をもたらしてくれます。
そのなかのひとつに、ラウンジチェアを置くコーナーをつくりました。大きな窓には黒いレースのロールスクリーンを降ろし、その脇でゆっくりと冷たい麦茶を飲む。ただそれだけで、なんとも癒される気持ちになりました(笑)
チェアに座った目線で見ると、上の写真のような感じ。レースのスクリーン越しに、外壁に映り込む樹影が印象に残ります。窓辺で時間を過ごしていると、いろいろなものが身近に感じられます。たとえばチークの床材、タモの窓枠、壁と天井に塗られた珪藻土。どれもが主張させるような使い方ではありませんが、しっとりと柔らかい雰囲気のインテリアになりました。
埼玉県朝霞市で計画をすすめてきた住宅が、上棟を迎えました。梅雨が明け、暑い最中での作業でしたが、無事に骨組みが組みあがりました。
上棟して、最初に建物のなかを歩き回るのは楽しいものです。敷地との関係がうまくいっているか、思い通りのスケール感になっているか、過ごしていて楽しいスペースになりそうかどうか、そんなことを感じ取りながら歩き回ります。
今回の住宅では、僕のこれまでの設計ではじめて「斜め」の壁が登場します。斜めの壁と窓に導かれるようにして、一段低く下がったリビングコーナーに下りていくような趣向です。図面を見ながら想像をしていたのだけれど、実際に骨組みができあがりその様子が見えてくると、嬉しくなって何度も行ったり来たり、ウロウロしてしまいました(笑)
そこには、それがなくてはならない。そんな気分というのがあると思います。敷地にあった欅(けやき)の古木を、事情があって切り倒さざるを得なかったのだけれど、その欅をつかって家具をつくる。製材したなかでもとりわけ良い部分の板を選んでダイニングテーブルをつくります。おのずとそれは生活の中心となるし、そのような雰囲気を漂わせないといけないと思います。そんな風にして、この家の設計の骨子は決められていきました。
だいぶ期間がかかったけれども、ようやく工事は大詰め。まだ主役のダイニングテーブルは、製作してくれた家具屋さんの倉庫のなかで、今か今かと出番をひっそりと待っているはず。空間のなかでダイニングテーブルと調和するように考えた各部のディテールが、少しずつ仕上げられてきました。欅の古木以外にも、旧家に残る和室の透かし彫りや、床板などが少しずつ散りばめられるようにして新築のなかに配され、新しいのだけれども、どこか以前につながっているような、そんな雰囲気が宿ることを目指しています。