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冬仕立て

2024-01-24 22:45:35 | 透かし庭の家


「透かし庭の家」の一年点検に。
ダイニングに面した庭の緑が落葉し、冬らしい風情になります。
室内には防寒用の障子を建て込んで、凛とした佇まいになりました。

緑が印象的な春夏秋と異なり、冬には特別な趣きがあると思います。
と、土門拳もそんなことを言ってたっけ。

障子を通した柔らかい光の中、ペンダント照明や、無垢の木の素材感が美しく映えます。

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未来にのこすもの

2024-01-17 22:18:31 | 北茨城の家


北茨城で住宅の設計が進んでいます。
敷地となるところには、古い納屋が建っています。大谷石と材木と土壁だけでできている、簡素古朴な建物。
その素朴な美しさに惹かれ、ぜひ残したいと思うのですが・・・耐震性や居住性を考えると、やはり建て替えという道をとることになりました。
すきま風だらけの室内には、古い器や道具がぎっしりあり、小さな窓から入る仄明るい光に照らされています。
器物が鈍く光る、その美しさと存在感に、心が掴まれます。
これらのものをいくらかでも残して、「場所の記憶」として刻みたい。そんなふうに思いました。

そこで、納屋に用いられていた大谷石を再利用し、新しく建てる家のインテリアに活かすことなりました。
階段室の壁には大谷石が用いられ、ところどころに開けられたニッチに、古い器物が飾られます。
新しい家は、さながら「記憶のギャラリー」としての使命を帯びることになりました。

そんなふうにして設計の打ち合わせがすすむうちに,次第に新たなテーマが浮かび上がってきました。
ピアニストでもある施主が、個人的に演奏するための小さなピアノ室を設けていましたが、もしかしたらファミリーコンサートが開かれるようになるかもしれない、ゲストを招いて音楽会ができたら楽しいね、そんなふうに話が広がっていきました。
リビングとひとつながりになった音楽室は、さながら小さな室内楽ホールのようにもなりました。

暮らしとギャラリーと音楽ホール。相容れないようないくつかの役割をギュッと担い、新しくもあり懐かしくもある佇まいの家が、緑豊かなこの土地に建ちあがる。
そう思うととってもワクワクします。
実現に向けては、いろいろな障壁があります。我慢強く障壁をひとつひとつ解決しながら、ゆっくりじっくり進んでいきたいと思います。
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30年の軌跡

2023-12-31 21:25:38 | 写真


30年も前に、ぼくが父親の本棚のなかに見つけた一冊の写真集 田沼武能「カタルニア・ロマネスク」。
スペイン・カタルニア地方の山間の小さな村々を訪ね歩き、石造りの簡素で小さな礼拝堂とそのまわりに暮らす人々を撮った写真集です。
はっきりとした理由はわからないけれど、その世界観に惹かれて、ずっと手元に置いてきた写真集です。

その傍らに映っているのは、ぼくの設計した近作のポストカードです。
これまで多くの住宅を設計してきましたが、心のなかで常に問いかけているのは、「カタルニア・ロマネスク」の世界観にどれだけ近づけたか、ということ。
もちろん、現代の住宅をつくるのですから、材料や設備などを真似るわけではありません。

心の拠りどころになるような空間になったかどうか、ということ。

イメージの源泉としての写真集と、その延長にあるポストカード。このふたつの間には30年という時間が横たわっています。
この30年の間に、ぼくはどれだけ自分の思うところを理解し、磨いてこられただろう。
大切にしてきたことを、これからもじっくりと磨きながら歩んでいきたいと思います。

今年も、ブログにお付き合いいただきありがとうございました。
どうぞよいお年を。
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森の家

2023-12-24 22:47:20 | 山中湖の家


山中湖の湖畔の森の中で、住宅の建築が始まりました。
原生林の一部にそっと置かれた、平屋の家。
そんなイメージとは裏腹に、基礎工事の段階では凍結深度まで深く掘るので、意外にも大掛かりな工事になります。
建物ができあがって、掘りかえされた土も徐々に馴染んでくると、森の中にしっくり馴染む佇まいになることでしょう。

来年の今ごろにはこの家もできあがっています。
森の中で過ごすクリスマスは、きっととても静かですね。
暮らしのなかの所作のひとつひとつに音を感じ、特別なことのように感じるかもしれません。
この家では、森の緑のなかに身を浸し、移り行く自然の光と陰影とを満喫するような設計をしてきました。
そして、ちょっとした遊び心とサプライズと共に。
すべては、森の中での暮らしを楽しむために。



山中湖からは富士山が間近に見えます。
クリスマスシーズンとはいえ、近くの河口湖とは違って、こちらは人影もまばらでとても静かです。

暮れてゆく空と、輝く水面。
湖面に枝垂れる倒木の向こうに富士山が鎮座し、
湖面の水面がとぷんとぷんと音を立てながら寄せてきます。
それを聞き眺めていると、静けさのなかにも満たされた気持ちになっていきます。

作家の須賀敦子さんがヴェネツィアについての旅エッセイのなかで描いた心情と、どこか似ているのかな。
そんなイメージの連鎖を楽しみつつ。

メリークリスマス。



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クリスマスの家

2023-12-17 21:32:21 | 鎌倉 山ノ内の家


鎌倉山ノ内の家を訪問しました。山間のロケーションに建つ家で、窓からは自然の風景がいっぱいに見えます。
山の風景はだんだんと冬支度。そんななか、暖かい室内にいるのは幸せを感じます。
テーブルセッティングも美しく。
赤いテーブルナプキンが映えますね。
使い込まれてツヤと味わいの出たオーク材の椅子と、グレイッシュな壁の色。
そして窓の外は冬景色。
華やかなものと落ち着きのあるものが、不思議な調和をなして心地よい空間でした。

海外での暮らしが長った施主のKさんは、クリスマスシーズンを楽しむいろいろなグッズをお持ちです。
キッチンのスパイスラックも、クリスマス飾りで楽しく演出されました。
リースや松ぼっくり、家型のキャンドルホルダーなどなど・・・。



そしてなんといってもその中心は、背丈を超すほどの大きなクリスマスツリー!。
インテリアのなかでツリーが映えるように、あらかじめリビングイン階段の脇にツリーのためのスペースを考えておきました。
その傍らに佇むのは、愛猫サンディ―くん。この家ができあがってからファミリーの一員になりました。

あたたかくて、ほっこりする空間。
「ヒュッゲ」だなあと思いました。


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