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ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

近藤大介氏著『日中再逆転』 - 4 ( 日本より、中国を選んだオバマ氏 )

2020-03-04 17:06:54 | 徒然の記

  「アベノミクス」という言葉は、国内では評価されていません。それどころか、安倍総理が作った「自画自賛の造語」で、中身は何もない、と言うのが大方の意見です。

 野党の議員が冷笑し、マスコミが貶すばかりなので、安倍内閣の宣伝文句だろうと、そのくらいにしか思っていませんでした。近藤氏の本を読み、どうもそうではなさそうだと、少し考えを改め、「アベノミクス」を理解するには、発想の転換が必要だと言う考えに至りました。

  ・総理は景気が回復したと胸を張るが、私たち庶民の感覚では、暮らしは何も良くなっていない。

 マスコミが批判しますが、そもそも「アベノミクス」は、「庶民感覚」との比較で語るものではありません。マスコミ用語に「霞ヶ関の論理」、「永田町の論理」と言う言葉があります。「霞ヶ関」は官僚、「永田町」は政治家を指し、官僚や政治家の論理は庶民の常識とはかけ離れたものであると、皮肉を込めて使われます。

 つまり「アベノミクス」は、「国際政治家の論理」「世界企業家の論理」で考えなければ、理解できないと言葉だということす。

 270ページには、「アベノミクス」をオバマ大統領とプーチン大統領が絶賛したと、書いてあります。また習近平氏と対立する李克強氏が評価し、自らの経済政策に「リコノミクス」と、似たような名前をつけたことが紹介されています。

 息子たちに言います。アメリカとロシアと中国の「経済状況」を思い出してください。

  オバマ大統領のアメリカは、財政・金融の巨額赤字に悩むだけでなく、富裕層と貧困層の格差が増大し、庶民の不満が満ち溢れています。

  ロシアは、ソ連崩壊以来経済の低迷が続き、

  中国はいつ崩壊するかと、世界が期待と不安の目で眺める危うさです。

 日本の報道を見る限りでは、たいした努力もせず、総理が景気の回復に巡り合わせたとそんな風になりますが、他国との比較をする時、初めて「アベノミクス」の評価が定まります。

 平成21年の民主党鳩山内閣から始まり、菅内閣、野田内閣と続く3年間、日本経済は最悪でした。「コンクリートから人へ」と颯爽とした標語を掲げ、彼らは土木・建設事業を諸悪の根源として否定しました。金権腐敗の自民党政治の弊もあり、国民の多くが、民主党のプロパガンダに惑わされました。

 しかしその後、東日本大震災による甚大な被害が加わると、多くの企業が倒産し、就職難の若者が溢れました。日本経済は、先の見えない暗いトンネルへと突き進むばかりでした。

 近藤氏の意見を、紹介します。

  ・2012 ( 平成24 ) 年、衆院選の勝利で誕生した安倍政権は、翌年の参院選でも大勝した。加えて日本は、ついにオリンピックまで取ってしまった。

  ・何よりも内閣支持率が、一年経っても、5割以上を保持している。また、日本経済は、アベノミクスで復調著しい。

 これは習近平氏の安倍政権への評価を、中国外交関係者が近藤氏に紹介したものです。つまり「アベノミクス」は、平和で穏やかな日本に住む「庶民感覚」との比較でなく、熾烈な経済競争が展開される、国際社会との比較で語られるべきものだったのです。

 オバマ大統領が安倍総理をどのように扱ったか、「アベノミクス」の前後での対応を紹介するのが、一番分かりやすい例です。オバマ氏がどんな政治家だったのか、安倍氏がいかに屈辱に耐えたか、日本のマスコミが伝えない姿を知って欲しいと思います。

 近藤氏の意見を、紹介します。

  ・第二次世界大戦後、ブッシュ・ジュニア大統領の時代までは、アジアのことは、同盟国の日本と決めると言うのが、アメリカ外交の伝統だった。

  ・それをオバマ大統領は、アジアのことは、中国と決めると言う態度を鮮明にしたのである。ビジネスライクな弁護士大統領にとって、斜陽の日本よりも13億人市場の陽光の方が、はるかに魅力的に映ったのだ。

 氏の意見を参考に、オバマ氏の冷淡なあしらいを項目別に列挙します。

  ・ 平成26年1月  「日米首脳会談」要請のため、川相外務次官、岸田外相を派遣するが、オバマ氏拒絶

  ・平成26年2月  会談を一時間だけ認めると回答。TPP参加と市場開放が議題と厳しい条件付き

  ・平成26年6月  習近平氏をカリフォルニアの別荘地へ招き、二日間、8時間の首脳会談

  ・平成26年6月  イギリスで開催されるG8会議での、「日米首脳会談」申し出を、オバマ氏拒絶

  ・ 平成26年8月  ロシアで開催のG20会議で、プーチン、オバマ大統領が「アベノミクス」を称賛。

 2年後の6月に、オバマ氏はアメリカの現職大統領として、初めて被爆地広島を訪問し、日本国民に感銘を与えましたが、「アベノミクス」成功前の安倍総理に対しては、終始冷淡かつ非礼な対応をした人物です。

  「安倍総理は、歴史の事実を認めない、歴史修正主義者だ。」

 オバマ氏は韓国の朴槿恵大統領に与し、捏造の「慰安婦問題」を否定する総理を冷ややかに責めました。私はその姿が今も忘れられず、好感できない政治家として「軽蔑の記憶箱」に入れています。

 こんなオバマ氏でさえ、「アベノミクス」の成功後、「広島訪問」をするまでに変貌した事実を知り、私は総理への認識をまた修正しました。

 是々非々で行くことに変わりはありませんが、ここで言いたいのは、総理個人に好悪の感情があるとしても、政治家としての実績は適正に評価すべきだと言うことです。

  「アベノミクス」と同じ理屈で、下記のように比較の対象を変えれば、同じ安倍氏でも違った評価が出てきます。

    安倍総理と習近平氏    安倍総理と金正恩氏   安倍総理と文在寅氏

    安倍総理とプーチン氏   安倍総理とオバマ氏  

 次回は、中国で活躍する日本企業について、眼から鱗の事実を紹介いたします。

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