goo blog サービス終了のお知らせ 

ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

習近平に中国は変えられるか - 6 ( 中国軍による、「オレンジ計画」研究 )

2020-03-31 12:58:52 | 徒然の記

 「中国との外交に関し、日本人には、どのような知識が必要なのか。」

 今回はこのテーマに絞り、中国の特異性を報告したいと思います。まず164ページです。

 「存在感の大きくなった中国の、外交方針を取り仕切るのは、」「実は、中国外務省ではない。」「憲法に明記されず、メンバーさえ公表されていない組織、」「党外事工作指導小組だ。」「トップは国家主席だが、実際のリーダーは、」「議長役の国務委員、外交担当、副首相級が、決める。」

 「会議の出席メンバーは、外相や商務省の他、」「国防省や解放軍の副参謀総長級も出席する。」「2012 ( 平成24  ) の夏、日本による尖閣国有化方針をめぐり、外事小組の会議が開かれた。」

 この時の会話の一部が、紹介されています。

   1.  軍の関係者

  「日本、フィリピン、ベトナムのうち、どこかとの戦争はやむおえない。」「領土を守る意思を強く示すべきだ、」

   2.  他のメンバー

  「いや今は、周辺国との協調が最優先、冷静さが必要だ。」

 3.   議長・戴秉国( たいへいこく  )

  「当面は日本側の対応に合わせ、中国側も対応する。」

 この時中国各地で起きた反日デモに対し、公安当局は抑制的に対応したと言います。北京、上海などのデモが、数十人規模で済んだのは、戴秉国の指示でした。しかし 平成24年の秋、野田内閣が尖閣諸島の国有化に踏み切った時、「もはや反日デモを抑制する必要はない、」と、一気に方針転換したのも、外事小組の会議でした。

  嘘か本当か、記者の説明によりますと、中国外交の仕組みを知らない日本政府は、外相との会談を重視し、党外事工作指導小組との定期接触がないと言います。

 「中国では、他国と比べ、外交の地位は決して高くない。」「トップ25の政治局員の中に、軍人が二人いるが、」「外交分野の責任者は、ゼロだ。」「また、軍の最高決定機関である、党中央軍事委員会の構成は、」「軍人10人に対し、文民は国家主席一人だ。」

 「胡錦濤時代には、政府トップの温家宝首相が知らないところで、」「軍事の決定がされていることが、しばしばあった。」「中国の大国化と共に、軍内の強硬論が高まっており、」「外交当局が歯止めをかけることが、ますます難しくなっている。」

 中国の政府内で、外交当局の影が薄いと説明されますと、思い当たる節があります。習近平氏が今回の人事で、王毅氏を外相に任命しました。王毅氏は元駐日大使だっただけでなく、学生時代日本に留学し、日本語も堪能です。氏が外相に就任した時は、日中関係改善の現れかと期待したが、見当はずれでした。

 氏の発言は日中改善でなく、関係悪化を煽る、高慢極まりない日本批判でした。記者の説明を読み、政府内での氏の立場の弱さと、軍部の強行姿勢を知らされ納得しました。氏は、日本の政界、官界、財界と太いパイプを持ち、第一次安倍内閣の時、就任直後の総理の電撃的訪中も演出しています。しかし氏が今の状況で、日本寄りの発言をすれば、忽ち左遷か追放です。身の安全を考えれば、軍部に合わせ、強行論を言うしかありません。

 その証拠に習近平氏は、王毅氏の外相と同時に、副首相級の国務委員に楊潔篪 ( ようけっち  ) 氏を、任命しています。記者の説明によれば、副首相級の国務委員で外交担当をする者が外相の上に立つのですから、王毅氏の活躍の場はありません。

 「楊潔篪は、尖閣諸島問題への対応で、強硬論を唱え、」「指導部の支持を得たとされており、日中関係の厳しさは当面続きそうだ。」

 これが記者の人物評ですから、尖閣への領海侵犯も、絶えることなく続くということになります。

 尖閣諸島に関する日中の争いは、大国となった中国が、大人しくしていた過去を捨て、日本を困らせるため、横車を押しているのだとそう思っていました。しかし記者たちの説明を読むと、そんな単純なものでなく、国家の生命線である海上シーレーンの、占有問題であることを知りました。165ページからの引用です。

 「2011 ( 平成23  ) に、軍は米国との戦争に備えた、シナリオを研究中だ。」「それは太平洋戦争開始の20年前に、台頭する日本を仮想敵国として、」「米国が作った〈オレンジ計画 〉  の研究だ。」「米国はこの時点で、戦略物資を止めれば、日本の伸長に、」「歯止めがかけられると、分析した。」

 「その後米国は、実際に原油の供給を停止し、」「原油を求めて、日本は東南アジアへ、戦線を広げ、」「米国のシナリオ通りに、敗戦した。」

 「軍は、現在の米国が中国を仮想敵国とし、」「同様の計画を立てていると、言っている。」「これを防止する戦略の一つが、中東からの原油ルートにあたる南シナ海で、」「制海権と制空権を、中国が維持することだ、と主張する。」

 米国との協調を模索する外交当局に対し、軍が南シナ海で、強行路線を進める背景には、こう言う危機感があると言います。尖閣諸島のある東シナ海は、仮想敵米国を攻撃するための、太平洋への出口ですから、日本国民の想像を超える事態になっています。

 しかしここで、図らずも知った大東亜戦争の事実でした。「日本だけが間違った戦争をした。」「日本だけが、侵略した。」と言う、東京裁判史観の間違いが明らかにされています。日本はアメリカのオレンジ計画により、戦争の拡大を余儀なくされ、戦線を広げさせられ、彼らに翻弄され、敗北したのです。

 息子たちに言いいます。日本だけが悪かったと思うのは、やめなさい。東條元首相が軍国主義の悪玉で、侵略国家の先頭にいたと、そんな一方的な話を信じることもやめなさいと・・。

 次回は尖閣問題につき、事実をもう少し、日経記者の先生方に教わります。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 習近平に中国は変えられるか ... | トップ | 習近平に中国は変えられるか ... »

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

徒然の記」カテゴリの最新記事