ねこ庭の独り言

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『 日本が軍事大国になる日 』 - 25 ( シンガポール軍の内情 - 2 )

2022-03-06 17:05:33 | 徒然の記

 シンガポールは徴兵制で、総兵力が約5万5千人、他に即応性のある予備役がいて、緊急時の最大動員数は25万人になるそうです。単純計算すると、人口の一割が兵士になります。

 国防予算はGDPの6%、国家予算の34%にも達していますが、シンガポールの高い経済力がこれを可能にしています。日本との比較で考えますと、信じられない数字です。

 「最新式兵器を、必要なだけ購入するというわけにいかないが、」「東南アジア諸国内では、装備は極めて新式である。」

 軍の構成を比較しますと、フィリピンやベトナムに比べても、装備的に遜色のないことが分かります。

  シンガポール軍    陸軍   4万5千人  海軍   5千人  空軍   6千人

  マレーシア軍     陸軍 10万5千人  海軍 1万5千人  空軍 1万2千人

  フィリピン軍     陸軍 7万2千人  海軍 2万3千人  空軍 1万5千人

  ベトナム軍      陸軍 110万人     海軍 3万6千人  空軍 2万人

 シンガポールは、マレーシア同様多民族国家で比較すると下記のようになります。

  ・シンガポール・・ 人口の7割華人系、  2割弱マレー系、 1割弱インド系

  ・マレーシア ・・ 人口の6割マレー系、 3割華人系、   1割インド系

  公共メディア (テレビ・新聞等) は3系統あり、共生しながらもそれぞれが異なる共同体を形成しているそうで、こういうところはマレーシアに似ています。シンガポールは、賃金の安い外国人労働者を積極的に受け入れ、政府の発表では、2030年に外国籍人が、人口の過半数を占めると予測しているそうです。

 劣悪な環境で外国人労働者を酷使したため、インド人労働者の暴動が発生したと言いますから、理想の国とばかりは言えないようです。しかし国防意識という点では、見習うものがありそうなので、江畑氏の説明を紹介します。

 「国軍の力だけで国を守りきれないのは明らかなので、シンガポールの防衛戦略は、」「〈  毒を持った海老 〉をもって、外敵への抑止力とするというものである。」

 冷戦終結後に追加した防衛戦略で、米軍の力を引き入れるということでした。具体的には、米国の海軍と空軍に基地使用の便を与えるという軍事協力です。

 「これに拍車をかけたのが、フィリピンからの米軍撤退である。」「シンガポールは、第7艦隊の補給支援機能を、」「同国へ移すことに同意し、200名の要員と共に移動してきた。」

 「米国の軍需産業との間で、修理技術支援協定を結び、」「補助艦艇の修理だけでなく、戦闘艦艇の修理もできるようにし、米軍のパートナーとなる計画である。」

 なんでもないような話に聞こえますが、米国には有り難い軍事協力になっています。

 「シンガポールの修理機能は、米海軍のインド洋における作戦能力を、」「大きく高めるものとなろう。」「さらにここを前進基地、補給基地とすれば、米海軍の艦艇は、」「インド洋上に最大6週間に達する、長期展開が可能となる。」「香港やグァム、あるいは日本まで、わざわざ戻らなくて済むからである。」

 どこまでも抜け目のないシンガポールです。日本もそうなっているのかどうか、報道されないので分かりませんが、次の説明にも注目しました。

 「新型装備も国産化に努力を注ぎ、CIS社は、今や兵器メーカーとして、」「世界のトップテンにランクされるようにまでなっている。」

 「シンガポールの国防力増大に対する努力には、注目に値するものがある。」

 シンガポールにもマレーシアにも、共通する現実主義があります。両国はいずれも、広く諸外国との軍事協力を行うことで、国家安全保障を強化する方針を取っています。氏の説明の中から、武器調達の国名だけを拾い出しますと、下記の通りです。

 アメリカ、イギリス、フランス、カナダ、ドイツ、オーストラリア、

 ニュージランド、アルゼンチン、インド、イスラエル

 華人系、マレー系、インド系と、国際社会では仲の良い民族とは思えないのに、国としてはまとまって動いています。マレーシアのように、各共同体にスルタンがいるとも説明されていませんので、ここにも何か工夫がありそうです。

 民族が異なっていても、一つの共同体としてまとまっている国・・どんな秘密があるのでしょう。日本と比較すると、羨ましくなります。2月23日の千葉日報を見ますと、共同通信社の配信記事がありました。14面全部を使った、アイヌの特集記事です。

 「自然と共存  アイヌの誇り」「文化で差別  跳ね返す」「多彩な舞踊で、歴史伝える」

 このような見出しで、アイヌ人秋辺日出男氏の意見が紹介されています。

 「アイヌであることを理由に、中学生までいじめを受けた。」

「アイヌの文化や土地が、明治政府の同化政策で奪われ、」「祖先が貧困を余儀なくされてきた歴史も知った。」「自らの経験に歴史を重ねると、憤りが増した。」「差別を通してしか、アイヌを語れなくなっていた。」

 日本が過去の歴史を見直し、国として一つにまとまろうとしている時に、相変わらず共同通信社は、このような記事を全国の地方紙に配信し、日本の中に対立を生じさせようとしています。シンガポールやマレーシアでこのような報道をしていたら、国内がバラバラになり、そのうち崩壊するのではないでしょうか。

 差別を強調し、憎しみを煽るような記事を、なぜ日本のマスコミは発信するのでしょう。日本のためでなく、どこか他の国の利益のため記事を書いているのでしょうか。比較して江畑氏の著作を読むと、日本のおかしな現実が同時に見えてきます。

 今回でシンガポールを終わり、次はインドネシアです。

コメント (6)
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