ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

『 日本が軍事大国になる日 』 - 33 ( ミャンマー軍とロヒンギャ族 )

2022-03-18 22:52:11 | 徒然の記

 今回はミャンマー軍に関する、江畑氏の説明を紹介します。

 「ミャンマーとタイとの関係は、ベトナムとタイの関係より、もっと緊張状態にある。」「カレン族や反政府勢力を追って、ミャンマー軍がタイ領内に侵入し、」「タイ政府軍と衝突する事態が、頻発しているからである。」

 国内に反政府武装勢力を抱え内戦が頻発しているというのが、どうやら東南アジア諸国の特徴のようです。ラオス、タイ、カンボジア、フィリピンやインドネシアもそうでしたが、ミャンマーも同じです。

 これらの国々は、国内の治安問題に多くの軍事力を使いながら、同時に周辺国との紛争にも対処しているのですから、日本と比較しますと大変な国ばかりです。

 1948 (  昭和23 ) 年に独立したミャンマーは、一貫して独立国だったタイを除くと、東南アジア諸国の中で早い時期に自立した国です。一貫して独立国だったタイにしても、内実は腐敗した軍が政治の中心にいて、国民生活の発展を阻んでいました。「ビルマの竪琴」の小説や映画で、私たちに馴染みの深いミャンマーも氏の説明を読みますと、多難な国です。

 「独立以後今日に至るまで、共産ゲリラやカレン族、カチン族と言った反政府少数民族との、」「戦闘の連続である。」

 ビルマは日本の約1.8倍の面積を持っていますが、人口は5,141万人(2014年現在) しかいません。国境は南東にタイ、東にラオス、北東と北が中国、北西がインド、西はバングラディシュと接しています。

 人口の6割をビルマ族が占めていますが、カレン族、カチン族、カヤー族など100以上の少数民族が住む国です。

 令和3年の軍事クーデターで政権の座を追われるまで、アウンサンスーチー氏が実質的な大統領でした。敬虔な仏教徒と言われ、国民的人気の高い人物でしたが、在任中の少数民族ロヒンギャ族への対応で、欧米諸国から叩かれました。江畑氏は著書でロヒンギャ族を取り上げていませんが、日本のマスコミも批判的な報道をしていましたので、少し調べてみました。

 少数民族問題が、いかに複雑で解決困難なものであるのか、生きた実例になると思うからです。

 ロヒンギャ族はミャンマーのラカイン州に住む人々で、イスラム教を信じています。かってのユダヤ人と同様、自分の国を持たない流浪の民で、主に農業で生計を営んでいますが、商人としての交易活動も盛んだということです。

 しかし、ミャンマーでは「不法滞在者」と見なされているため、移動の自由が認められておらず、修学も、就職も厳しく制限されています。そのため農業や日雇い以外の仕事に就くことは困難となっています。宗教と生活習慣が違うため、ミャンマー人との揉め事が多く、結果として他の少数民族と同様過激な反政府活動をしています。

 ミャンマーに住んでいるロヒンギャ族は、約80万人と言われていましたが、アウンサンスーチー氏の政権時に、軍に迫害され60万人が周辺国へ逃れたそうです。欧米諸国の批判は、おそらくこの事件のことだろうと思います。
 
 アウンサンスーチー氏は軍の強権と戦い、庶民のための政治をするという人権派の印象が強かったため、ロヒンギャ族の国外放逐を黙認したことにより、日本においてもイメージダウンをしたのではないかと思っています。
 
 江畑氏がせっかく少数民族問題に触れていますので、少し調べてみました。日本との比較をすることが目的ですから、次回も「ねこ庭」へ足をお運びください。
コメント
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