ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

『 日本が軍事大国になる日 』 - 20 ( フィリピン軍の内情 )

2022-03-01 23:14:43 | 徒然の記

 昨日NHKの番組で、ロシアのウクライナ侵攻に関する識者の意見が紹介されました。女性の学者と、もう一人は橋下徹氏でした。

 「プーチン氏の意見は、感情論ですし、歴史的にみても客観性がなく、プーチン論でしかありません。」

 「自分だけの思い込みで、国家の指導者が務まるのかと危険なものを感じます。」

 正確ではありませんが、女性の学者の意見は概ねこのようなもので、感情的になったプーチン氏には、トップとしての正しい判断力がなくなっているというところに力点がありました。

 沖縄が独立したいというのなら、させれば良いと、橋下氏はこのような意見の持ち主なので、いまだに日本を大切にする人物か否か、疑問のままですが、昨日の意見には同意しました。

 「プーチン氏は、感情論で述べているのではないと思いますよ。」「かってのソ連の地図を、確認してください。」

 手回しの良いNHKなので、すぐに地図が表示されました。旧ソビエト連邦は衛星国だったポーランド、チェコ、ハンガリー、ルーマニアを、ヨーロッパとの間に置き、その内側にありました。当時のウクライナ共和国は、ロシア連邦共和国に次ぐ多くの核を配備していた、重要な国でした。

 「ウクライナは、元々はロシアですよ。」「ここにNATOの基地ができるというのですから、プーチン大統領が怒るのは当然でしょう。」

 「かってキューバに、ソ連が核ミサイル基地を作ろうとした時、アメリカの反応はどうでしたか。」「脇腹に短刀を突きつけられたというので、フルシチョフとケネディーの間で、核戦争の寸前まで行ったじゃありませんか。」

 「今回のプーチン氏の言動は、感情論でなく、こうした点から考えるのが正しいと思いますよ。」

 年を取り体力が衰え、正常な判断力を失っているという学者の意見にも、何か根拠があるのだとは思いますが、それをいうのならバイデン氏も同じです。老人特有の物忘れが酷くなり、いつまで大統領の職務が続けられるか不安もあると聞きます。

 ウクライナ侵攻に関しては、プーチン氏の感情論や健康問題より、橋下氏の意見に妥当性があると思いました。フィリピンのことを紹介するブログで、どうしてウクライナの話かと、疑問に思われる方もあると思います。

 切羽詰まった危機がある現在ですが、江畑氏の書評を続けます。軍事バランスの話には、過去も現在もありません。書評には、ウクライナ問題を解く鍵があると、これが言いたかったのです。

 少し横道へ逸れましたが、111ページの「フイリピン軍の内情」に戻ります。

 「ベトナム同様に経済的に苦しく、装備の旧式化に悩んでいるのが、フィリピンである。」

 最初から厳しい評価です。

 「米軍の存在は、それだけで十分な国家安全保障機能を果たし、」「フィリピンは対外的国防に、大きな予算配分をしなくて済んできた。」「本来なら、経済はもっと発展して良かったはずだが、そうならなかった。」「その原因として、この国の政治的欠陥、すなわち腐敗がある。」

 マルコス大統領とイメルダ夫人の浪費と公私混同については、以前ニュースで聞いたことがありますが、どうやらそれは事実の一部だったようです。

 「さらに共産ゲリラやイスラム教ゲリラなどの、反政府組織の存在で、」「国内の治安維持に、防衛努力の大半が取られ、」「対外的な防衛力整備まで、手が回らなかった。」

 ゲリラというのは、武器を持つ過激派集団を言いますから、フィリピンは考えていた以上に治安の悪い国でした。日本にも反日過激派がいますが、せいぜい鉄パイプにゲバ棒の殴り合いですから、比較になりません。

 日本の警察が凄いのか、日本人そのものが素晴らしいのか、反日左翼と言われる人間でも、簡単に武器や殺人に目を向けません。たまにそういうことがあると、大ニュースになりますが、フィリピンでは普通の出来事でニュースにもならないと聞きます。

 「米軍の撤収とともにフィリピン国防省が、対外的な防衛力整備の必要性を、」「痛切に感じ始めたのは事実である。」

 日本との比較で考えますと、米軍基地撤収後に、自衛隊が初めて対外防衛力の整備に、目覚めることになるのでしょうか。有難いことに防衛省は、戦後一貫して対外防衛を考え、「憲法の枠内」で整備の充実に力を入れてきました。何よりも日本は、国内が安定し、自衛隊が出動するような武力紛争がありません。言葉での喧嘩は見苦しいほどの激しさですが、フィリピンの過激派のように無闇に武器を手にしません。 

 書かれているのは、平成6年、28年前の話ですが、何年前であっても、日本の社会はフィリピンのような内戦がありません。当たり前のことと言われそうなので殊更強調しませんが、日本に生まれて良かったと思います。

 「フィリピンの経済は、旧アキノ政権時代に大きく変革され、」「外国からの投資と、為替経済がやりやすくなった。」「企業の民営化も進み、対外債務も減少し、」「油井の発見などが加わって、経済再建の明るい見通しとなっている。」

 しかし、日本をはじめとする先進国の経済不況が始まり、投資の拡大も期待ができなくなりました。フィリピンが安い労働力を活用しようとしても、インドやベトナム、中国という、もっと労働力の安い国と競争しなければならないと言います。

 国内の治安もまだ完全でなく、ゲリラに代わって、身代金を狙う誘拐組織が暗躍し始めたとのことです。28年前の話ですから、今はだいぶ変わっていると思いますが、事実はどうなのでしょう。

 「この不安定な国内情勢も、外国からの投資を鈍らせる原因になっているし、」「電力不足、停電の頻発、通信網の貧弱さがそれに拍車をかけている。」

 読むほどに、フィリピンの内情に驚かされますが、肝心の軍の話はさらに深刻です。スペースがいっぱいになりましたので、続きは次回とします。興味のある方だけ、ご訪問ください。

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