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ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

中丸薫氏著『闇の世界とユダヤ』 ( 自称明治天皇の孫 )

2020-06-24 18:16:17 | 徒然の記

   中丸薫氏著『闇の世界とユダヤ』( 平成10年刊 ( 株)文芸社 ) を読了。

 本の表題の横に、「明治天皇の孫が語る」と書かれていますから、著者は明治天皇の孫なのでしょうか。

 これも、図書館でもらった廃棄図書の一冊ですが、この世には私の知らない種類の人間がまだ沢山いるのだと、今更ながら感心させられました。

 高校時代に、アグネス・スメドレー氏の『女一人大地をいく』という本を、読んだことがあります。左翼と右翼の違いはありますが、女一人で世界を飛び回る中丸氏の姿には共通する大胆さがありました。

 スメドレー氏の著作に嘘は感じませんでしたが、中丸氏の本には、読み始めから終わりまで胡散臭い雰囲気が漂っていました。

 本来なら、息子たちに伝える気になれない悪書ですが、我那覇さんのブログを書いたばかりなので、比較のつもりで取り上げました。我那覇さんは、依田氏の嘘や捏造に激しく憤慨していましたが、もっと大きな嘘をつく人間がいると、世間の広さを伝えたくなりました。

 著者の経歴、両親の略歴、あるいはこの書を出した出版社のことなど、それだけでも一冊の本になります。依田氏の嘘くらいで自分を見失っていたら、世間は渡れませんよと、我那覇さんに教えたくなります。

 著者の言によりますと、父君は明治天皇の隠し子だという話です。本の最初に、8枚の写真が挿入され、高松宮様と写っている父君の写真が混じっています。

 まず明治天皇のご一家について、ネットで情報を探しました。

  「皇后との間に子女なし。」

  「5人の側室との間に、5男10女の15人をもうける。」

  「うち成人したのは、1男4女の5人。唯一男子で成人したのが、大正天皇。」

  「4人の女子は、それぞれ子女をもうける。」

 明治天皇には、15人のお子様がおられたが、10人が夭折されています。成人した男子はお一人で、のちの大正天皇です。

 側室制度を無くされたのは昭和天皇ですが、それ以前は男系皇統維持のため、誰もがそれを当然としていました。したがってネットの情報でも、側室との間のお子様について何も隠しておりません。

 氏の言う通り父君がお子様なら、よほどの事情がない限りネットの情報に記載されないはずがありません。

  ・私は、昭和12年5月23日、北京で生まれた。

  ・思えばそれから45日目の、7月7日の夜、北京からさして遠くない盧溝橋で、日中両軍の衝突事件が起こり、それが以後8年間にわたる日中戦争の発端となった。

  ・この不幸な、戦争拡大を未然に防ごうと、命がけで奔走した人たちもいる。

  ・それは日本を知り中国を深く理解し、愛していた一部の人たちだ。私の産みの母中島成子も、父である堀川辰吉郎も、その中の主要人物と言っていいだろう。

 65ページに、氏がこのように書いていますから、堀川辰吉郎氏について、調べてみました。

  ・堀川辰吉郎は、明治24年に生まれ、昭和41年75才で没。

  ・彼は、昭和天一坊と呼ばれた詐欺師、大アジア主義者と称する怪シナ浪人

  ・明治天皇の落とし子、井上馨の手で臣籍降下され、頭山満の玄洋社に入れられると伝える資料もある一方、

  ・福岡の鉱山王・井上重蒼の妾腹の子として生まれ、学習院に入学したという話もある。

 氏自身も著書で父君について同様の話をしていますが、悪評の部分は省略しています。この親にしてこの子ありです。もう少し、ネットの情報を紹介いたします。

  ・世界救世教」元最高顧問、「善隣会」最高顧問でもあり、出口和仁三郎の黒幕とも呼ばれた。

  ・松本清張の『深層海流』に登場する、M資金をめぐるフィクサー桜尾良明のモデルと目されている。

  ・25才の時満洲に渡り、上海、支那を数年来放浪し、内地へ戻り、活動の弁士等をやっている内に、写真の撮影を覚え、写真撮影の仕事を通じ、児玉秀雄などの名士たちに取り入り、資産を蓄え、これを資金として詐欺を繰り返した。

  ・西園寺公望の落胤と称し、帝国ホテルに泊まりこみ、豪遊しているところを、警視庁に連行されたとする新聞報道もある

  ・この報道によると、堀川は、斎藤実首相や古山松吉法相など、名士の名を利用し、内地や朝鮮半島や満州で詐欺を働いていた昭和の天一坊である、という。

 中丸氏は裏扉の略歴によりますと、コロンビア大学を卒業した国際政治学者となっています。

 学者の端くれなら、父君に対するこのような情報があることを知らないはずがありません。それなのに、氏はどうして平然としていられるのか。氏のような人物が、どうして堂々と著作を出版できるのか。

 次回は母君の略歴と共にその辺りを、息子たちと「ねこ庭」を訪問される方々に紹介いたします。

コメント (2)
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