アメリカの知識階級といわれる人々が、日本をどのように見ているのか。率直な氏の意見は平易で分かりやすいから有意義です。
「終戦後の数ヶ月間は、どちらの国も相手の姿勢に驚かされた。アメリカは寛大な戦勝国となり、極めて理性的で、考え抜かれた講和条件を提示した。」「日本の過去の背信行為を罰するのでなく、日本が封建社会から近代工業国へと脱皮するのを助けるものだった。」
「日本の態度も、アメリカにとって意外なものだった。日本人は狂信的でなく、講和にも抵抗せず、」「戦勝国であるアメリカに学ぼうとする姿勢を示したからである。」「今から考えれば、日米間の講和は類まれな成功を収めた。」
「軍事的な大バクチに失敗した日本は、天然資源を持たないまま、国際社会で生きていかねばならなくなった。」「憲法の規定によって、日本は真の軍隊を持っておらず、大都市に人口が集中しているため、核兵器による攻撃に特に弱い。」「こうした状況下で日本人は、その驚くほどのエネルギーを経済に注ぎ込んだ。」
この辺りの説明には、東京裁判を除けば、自分の生きた昭和を思い出し、うなづくことが多くあります。たが「真の軍隊を持っていない」ことや、「核兵器による攻撃に特に弱い」という指摘については、もっと真剣に受け止めるべきです。アメリカ人である氏には無関係なのですが、真の軍隊がなく、核攻撃に弱い国だからこそ、現在日本は核の脅しに屈しています。
中国や北朝鮮がそれで、彼らは平気で私たちを脅迫ます。
「アメリカを選ぶか、中国を選ぶか。」「アメリカを選べば、日本に未来はない。中国はいつでも、日本の首都を破壊できる。」
中国解放軍の将軍が暴言を述べても、反論しません。この記事を掲載したのは、平和を愛する朝日新聞でしたが、日本の新聞なのに中国と一緒に日本を脅しています。北朝鮮は中国のように言葉では脅迫しませんが、その代わり、人工衛星などと大嘘を言いながら、ミサイル実験を繰り返しています。日本海へ向けて何度も発射し、飛距離を伸ばす研究を続けています。一方では地下核実験施設で、小型核の試験をし、実用化の手前まで行っているという噂もあります。
中川昭一氏が、「日本も、核の議論をすべきでないか。」と言ったのは、保守政治家としての危機感からでした。しかしわが国は反日マスコミの天下ですから、こういう意見は即座に潰されます。「日本を軍国主義に戻すな。」「戦争を許すな。」「平和を守れ」と、反日野党の政治家を煽り反日の活動家たちを騒がせ、まともな意見を粉砕します。私は今でも中川氏は、こうした勢力に殺されたと思っています。
安倍総理も、IRや移民法、アイヌ新法などにうつつを抜かしている場合でないはずなのに、頼りない保守政治家と成り果てました。話がそれましたので、氏の著書に戻ります。
「アメリカとソ連が、冷戦のために国力を浪費しているあいだ、日本は冷戦の現場から身を引いて、その尽きせぬエネルギーを、消費材の生産に、向けることができた。」
「真珠湾から50年が過ぎた今、誰かがアメリカと日本の双方を訪れたとしたら、どちらが戦勝国で、どちらが敗戦国なのか、平和を享受して国力を伸張させたのはどちらなのか。判断に迷うことだろう。」
おそらくこれが、一般的なアメリカ人の日本観です。別の言葉で表現したのが、「安保タダ乗り論」です。私はこの論を耳にするたび、アメリカの身勝手さを感じます。彼らは日本の憲法改正を望まず、軍の再建も望まず、沢山ある在日米軍基地の撤退も口にしません。彼らには、米国の武器や装備をふんだんに買ってくれる、自衛隊があればいいのです。
氏の話に出てくるのは相変わらず真珠湾で、彼らの頭の中から、「不意打ちした卑怯な日本人」という記憶が消えないことを教えられました。「日本への恨みは、千年経っても消えない」と、朴槿恵大統領が言いましたが、アメリカ人も心の内は同じだと知るべきです。
「カリフォルニア大学の、優れた日本研究者、」「チャルマーズ・ジョンソンが、冗談半分で、こう言った。」
「冷戦は終わった。日本が勝ったのだ。」
これが、この章の結びの言葉です。初めて聞く名前ですが、チャルマーズ・ジョンソン教授も優れた日本研究家と言いますから、日本に好感をもたない人物が、アメリカにはいくらでもいるということでしょう。
今回はここで終わりますが、次回もまた、私たちが耳にする機会がない、遠慮のない日本批判を紹介します。