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ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

保坂正康氏著『後藤田正晴』 ( 軽蔑と感謝、忙しい本 )

2017-06-14 17:51:10 | 徒然の記

 保坂正康氏著『後藤田正晴』( 平成10年刊 文芸春秋社 ) を、読んでいます。400ページの本の230ページですから、やっと半分というところです。

 右か左か反日か愛国かと、単純思考しか出来ない私にはやっかいな本で、途中で一休みせずにおれなくなりました。理由は二つです。

     1.    著者である保坂氏が、私の嫌悪する「獅子身中の虫」の一人であること。

     2.    後藤田正晴氏が、「護憲派」の政治家であるということ。  

 保坂氏については、平成25年の6月と9月、平成26年の2月と過去3回、氏を批判するブログを書いています。

  「改憲は、積み重ねてきた歴史への背信である。」

 氏の基本的姿勢は一貫してここにあり、安倍総理に反対します。平成25年の6月に、氏は講演会で次のように述べていました。

  ・もし帝国主義的な乱暴な国があったら、私たちは憲法とともに積み重ねてきた実績をもとに、その国を批判することができるのです。

  ・あなた方がやっているのは、帝国主義的な手法ではないですかと言えるし、言わなくてならない。

  ・今の憲法を持つことには、そういう意味もあるのです。

 これが尖閣の領海侵犯をする中国に対する、氏の意見です。参考のため、平成25年の9月のブログからも、氏の意見を転記します。

  ・ケリー国務長官とヘーゲル国防長官が、千鳥が淵戦没者墓苑を訪れたのは、安倍総理が、靖国神社とアーリントン墓地は同じと言ったことに対する、米国の怒りの意思表示である。

  ・靖国神社は宗教的・政治的であると同時に、何よりもA級戦犯の刑死者が祭礼の対象になっている。

  ・米国共和党の怒りは、神聖なアーリントンを、異質な靖国と同じにしないで欲しい、こんな神社がアーリントンと同じである訳が無い、ということだ。

 アメリカが何を言おうと、日本を大切に思う人間は、靖国神社をこんな言葉で語りません。だから私は、最初から偏見を持って本を読みました。

 氏は後藤田氏を議員会館に何度も訪ね、親しく対談した間柄だと説明しています。

 後藤田氏は今をときめく自民党の実力者なので、多少のお世辞はあると思いますが、鳥肌が立つような追従文でした。生きている著名人の伝記を、三文文士が書くとこうなるのかと、我慢しながら読みました。

 私の偏見なのかどうか、氏の文章を紹介します。 

  ・後藤田の顔は、確かに笑顔がいい。邪気の無い、爽やかさを絵に描いたような顔になる。そのために、相手に与える印象がソフトになる。

  ・だが高校時代の同級生たちは、その顔と、ひとたび議論になり自説を主張する時の厳しい顔もみている。その二つのコントラストが、かえって同級生たちには、人間的な魅力と映った。

  90ページ読んだところから、興味が湧いてきました。

  ・昭和17年、夏のことである。後藤田はマニラの司令部に、連絡将校として出張を命じられたことがあった。」

  ・マニラでは日本軍の将兵が、わがもの顔で街を歩いていた。フイリッピン人は、それに怯えていた。後藤田はこの時に、日本軍の横暴さを幾つも目撃した。

  ・これが大東亜共栄圏の実態かと、日本人でありながらフイリッピン人に同情した。

 戦前の日本人がアジアで何をしたのか、今も私が知りたいのはここです。氏も同じだったのか、後藤田氏に質問しています。

  ・どういう光景に出会ったのかと問うと、そりゃあ君、ひどいもんだ。そのことは言いたくない。

  ・とにかく無茶なもんだ。軍人には、ひどいことをするものがいるんだ。あれでは、戦後になってアジアの人々に弾劾されるのも無理はない。

  ・後藤田は、この話の時には眉をひそめた。

 私が乱読を続ける理由の一つは、戦前の日本が知りたいからです。後藤田氏と、保坂氏の会話には、私の知らない日本がありました。後藤田氏についても、次の事実は知りませんでした。

     1.  警察予備隊の創設に、実務官僚として関わっていたこと

     2.   機動隊の創設者であったこと

     3.   浅間山荘事件では、警察のトップとして指揮をしていたこと

 無知を啓蒙してくれる本に感謝する私は、軽蔑する保坂氏の著作にも敬意を表すことになり、忙しくなりました。

 それで、一息入れ頭を冷やすことにしました。私はまだ若いのですが、このような本を手にすると疲れます。

 本日はこれまでとして、「ねこ庭」の雑草でも抜くことにします。

コメント
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