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フランス絵画伝統の重み

2006-10-10 21:49:22 | アート・文化

この人の絵は八王子の村内美術館で特集展示としてみたことがある。

馬の絵が印象的だったが特に深く心には残らなかった。

しかし今回三越の展覧会をNHKサービスセンターの招待券で観に行き、浅はかな自己主張ばかり目立つ現代絵画にあってこの人の絵画はいい意味でのフランスの伝統を引き継いだ画家であることを再発見した。

アンドレ・ブラジリエ、その画業五十五年の展覧会だ。

いい意味でこの人の作品は色彩感覚にすぐれている、特に青の表現がよい。

色の効果が抜群で、海やら雲やらを描いた風景画は伝統的な印象派を意識している。

馬だけではなく、この人はオーケストラをもよく描く、そこには明らかにデュフィが意識されていよう。

人物画はなんだか日本の近代画を観ている感覚を受けるが、それもそのはず、この人は日本にも造詣が深く、東山魁夷に唐招提寺を案内されたという。

日本を題材にした作品「日本の風呂」「トリコロールの富士山」も展示される。

ビデオの中でこの人は「造形と感情の調和」が課題だと語る。

それは目に見える形とそれを超えた精神性を作品の中に表現することだろう。

このあわただしい時代の中で流行とは関係なくこの人は静かに伝統と向き合い落ち着いた均衡の取れた作品を発表する、貴重というべきだろう。

何でもフランスのお城に住んでいるらしい、相当な財産家なのだろうか。

この展覧会はこの後全国主要な三越を廻りますが、なぜか大阪には行かないみたいです。