温故知新No2

静岡県の牧之原市から、盆栽、野球審判、蕎麦打ち、おやじバンド、その他徒然なるままに、ブログしています。

2016 東濃地科学センター

2016-08-06 07:52:18 | 日記・エッセイ・コラム
長野県松川町との交流交歓会を盛会に終え二日目は、もう一つの大事な目的である国立研究開発法人日本原子力研究開発機構「東濃地科学センター」を見学。

このセンターは、原子力に関する総合的研究を行う機構のバックエンド研究(最終処分研究)開発部門。
いわゆる使用済核燃料(高レベル放射性廃棄物)を将来的に地層処分(深層地下層内に閉じ込め処分する方法)するための科学的調査研究施設である。

岐阜県瑞浪市地域の岩盤層を地下深く研究坑道を作り、年間20億円の予算で、深層地層における地震の影響、地下水の影響、火山、地熱などの影響、地質長期安定調査など多角的に調査研究されている。

東日本大震災時、地上では震度3だが、地下ではその半分の震度ということがわかった。
地下からは毎日800トンの地下水がわき、それを洗浄し河川に放出している。

そんなセンターの地下500mの坑道現場に降り、研究最先端を実体験する。
 
今回のこのセンターの研修は、現在原発が停止し、再稼働の様々な議論が進む中、核燃料ごみの処分技術は果たしてどこまで進んでいるのかを確かめることが目的。

実際、研究の最先端現場に足を踏んだ印象であるが、はっきり言って、まだこのレベルなのかと思うものであった。

将来的に原発から出る高レベル廃棄物を地層処分(埋設)するための研究を行っているが、研究開始からまだ日が浅い。
想定されない未知の影響がまだまだあり、暗中模索の調査研究が重なられているとの印象を受ける。

放射能を人間の手で自由自在に扱えるという技術と高レベル廃棄物の処分方法がまだ確立されていない現在、原発稼動を拙速に進めることは、廃棄物を単に発生させ未来の人類に危険物を送り届けるようなもの。
あとは未来人の高度な技術でが処理してくださいと言っているようなものではないか。

原発は、核燃料を利用する技術と処分する技術までのワンサイクルの技術が整ったところで初めて原子力発電といえる。
処分の技術が確立されない中で、原発稼動の議論は進められないものであると今回の視察で感じ取るものであった。


【写真↓:研究現場は工事現場。作業着に着替え説明員から注意事項を聞く。この時点で閉所、高所恐怖症の方は、見学となる。】


【写真↓:今から500メートルの地下に降りる昇降機を支える命綱。直径約5センチのワイヤーロープが巻きつく回転軸。】


【写真↓:470メートルをゴンドラで降り、最後の30メートルを螺旋階段で歩いて降りる。
所要時間約10分。】


【写真↓:地下坑最深部500メートル地点。
工事現場とは言っても、現在は、計画の500メートルを掘り進み坑道が完成したので、きれいな現場となり見学が可能となっている。
地上300メートル地点から500メートル降りたので、海抜マイナス200メートル。
ここまで掘り進むには、爆薬で1.3メートルずつ岩盤を爆破し、残骸を地上に上げ、側面の岩盤に40センチ幅にコンクリートを張り、円筒形の坑道を作っていく。この工程でこつこつ掘り下げてようやく500メートルに達した。】


【写真↓:500メートル最深部の横坑を進む。このような調査研究用の横坑道は100メートルごとにある。】


【写真↓:発破の跡が残る岩盤が、むき出しになっている箇所もある。ここから染み出る地下水は、2万年前の海水。】


【写真↓:この先に最先端研究が行われている。
人が立っている場所は、地下水がしみこまない防水対策が行われているが、正面のコンクリートの先は、穴を掘ったままの地下水に満たされた状態の坑道。
コンクリの厚さは、安全想定値の10倍の25メートルの厚さとなっている。
坑道内の温度は17、8度だが、湿度100%で蒸し暑さを感じる。この後地上に戻り、所要時間約1時間半。】
コメント
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