田舎に住んでる映画ヲタク

「映画大好き」の女性です。一人で見ることも多いけれど、たくさんの映画ファンと意見交換できればいいなぁと思っています。

クリーン(clean)

2012年06月08日 23時20分58秒 | 日記
 
 
 出会い、別れ、喜び、哀しみ。すべてを飲み込んで変化してゆく世界。消え入りそうになりながらも、必死に変わろうとした母の姿がそこにはあった。
フランス映画の枠を超えた豪華スタッフ&キャストで贈る感動の物語。



 古い映画ですみません。録画してあったもので・・・。主演のマギー・チャンは、第57回カンヌ国際映画祭で満場一致で主演女優賞を受賞しました。

物語は文字通り、女性の再生物語です。かつて名を馳せ、今はやや落ち目のロックスターである夫をクスリの過剰摂取で失い(このクスリは彼女が調達したもので、その罪で彼女も服役する)、義理の両親に預けてある息子まで取り戻せなくなってしまったマギー。

なんとか人生を立て直そうとするものの、世の中はそんなに甘くない。パリで叔父に世話してもらった食堂の仕事も続かない。歌に対する夢も捨てきれない。いい女友達もいて、居候させてもらったりもしてるのに。

ともかく、そんな彼女がドラッグを断ち、一筋の光を見出すまでを丁寧に描写した映画です。監督はマギーの元夫、オリヴィエ・アサイヤス。


しかし、冒頭、夫と共に契約の話に絡んだり、友人と共に音楽シーンに現れたりしたときに、誰もが彼女を悪く言うんですね。彼がかつてのようにうまくいかないのは彼女のせい、彼女は疫病神だと。ここで、なぜ彼女がここまで言われるのかの説明が全くありません。

これは後にも尾を引いて、義母には「お父さんはお母さんに殺されたのよ」などと息子に入れ知恵されてあったりもします。さすがにこれは言い過ぎだと思うけど、ともかくマギーに対する説明がもう少しあったらなぁ、と思いました。

今まで気ままにヤクなどやって過ごして来てるので、立ち直らなきゃいけないというのに、叔父の紹介の仕事も真面目にやらない。どうにも、感情移入しづらいところ。

また、子供とやり直したいといっても、そんなこと急に上手くいくわけがありません。息子は当然シビアに構えています。

しかし、どうやら超リッチであると思われる義理の両親なのですが、この父親のほうがマギーにものすごく優しい(演ずるはニック・ノルティ。老けましたなぁ)。息子には会わせてくれるし、経済的援助を惜しまないと伝えても来る(もちろん彼女が二つ返事で応じるわけではないけれど)。「人間は変わるものだと信じている。そう願う限りは」と言ってくれるし、普通こんなに恵まれているものだろうかと疑問を感じるほどでした。

そして、なんと刑務所で知り合って意気投合した女性の紹介で、歌のオーディションを受けて、一発で気に入ってもらえるのです。よかった!

私の感性が枯れてるのかな。こんなぬるい話のどこに、みなさん感動するんだろう。別にマギーが嫌いなわけじゃないけれど、そういえば同じ取り合わせの「イルマ・ヴェップ」も理解できなかったのを思い出しました。

満場一致で女優賞かぁ・・・。やっぱ私には無理、根っからの凡人だわ。芸術家にならなくてよかった(笑)。
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アンチクライスト(antichrist)

2012年06月07日 01時25分03秒 | 日記
 
 
 愛し合っている最中に愛する息子を事故で失った夫婦。深い悲しみと自責の念からしだいに神経を病んでいく妻。セラピストの夫はそんな妻を森の中の山小屋に連れて行き治療しようと試みるが、事態は更に悪化してゆく。彼らが「エデン」と呼ぶ山小屋に救いを求めた現代のアダムとイヴが、愛憎渦巻く葛藤の果てにたどりついた驚愕の結末とは・・・。


 これ、wowowで放映されていたので録画してありました。しかし、冒頭、「この作品は家庭鑑賞用にR18からR15に修正してあります」みたいな意味の表示が出るのです。劇場で見逃した私は、もともとの作品を知らないこともあり、一抹の不安を抱きながらも鑑賞しました。

しかし、あれだけの評判だったにもかかわらず、大した衝撃ではないんですね。もちろん、ハリウッド娯楽作を思えばかなりの衝撃作ですが、どうにもいままでのラース監督の域を出ないように思えたのです。

そこで、ネットでいろいろ読みました。すると、全然記憶にないシーンのことをみなさん述べられているんです。「you tubeで見た」との記述も。

早速動画を探し、多くはすでに削除されていたけれど、なんとか一番の衝撃シーンを探し出し、鑑賞することができました。

これはすごい!実際の映画ではどこまで映してあったのかわからないけれど、少なくともwowowの放映では、なにがなんだかまったくわからなくなっていたものばかりでした。

これは確かに物議を醸すだろう。すごすぎる。


どうしても女目線で見てしまうので、子供を不慮の事故で失って正気を失ってゆく妻には共感できました。そして、かなり年上であるだろうセラピストの夫が、「自分が治してやる」とばかりに上から目線で接してくるのをイライラしながら見ていました。まるでなにもかも見透かしたつもりでいるそのセラピストぶりは、私だったら絶対拒否したいものです。まぁ、同じ立場になってみないとわからないですが。

それにしてもウィレム・デフォーはいつまでも若いですね。なにか画面に処理してある?妙に若々しかったように思います。

そして痛々しいほど細くてデリケートなシャルロット・ゲンズブール。彼女の演技はすごすぎた。個人的には「シャルロット、そこまでやらなくても・・・」って思ってしまいました。監督は、この二人の組み合わせ、どこから思いついたのかな。

もちろん、ラース監督ですから、ほとんど意味不明な幻想的な場面や音楽もよく出てきます。冒頭も、夫婦が愛し合っている(モノクロ)場面を映しながら、大仰なアリア(?)を流しています。だから、起きていることが悲惨でもなぜか美しく見えたりするのです。


妻のほうは、この山小屋に一年ほど前、論文を書くためにこもったことがあるようです、子供と一緒に。そして、結果的には途中で意味を見失ってしまったその論文は、「悪魔」や「中世の魔女裁判」などがテーマだったようです。最初は魔女裁判などは、女性が被害者だと思っていた妻も、調べてゆくうち彼女たちも悪魔な部分もあったのではないか、いや、人間とは根源的にみな悪魔なのではないか・・・そう気付いて書く意味を見失ったようです。


ともかく、夜中に落ちてくるドングリの異様な音や、出産しかけのシカ、巣から落ちて虫に食べられているヒナなど、抽象的な表現が多発です。ラース監督は本当に非凡です。





ここからネタバレ。過激な表現、ご容赦を。耐えられないと思う方は読まないでください。




 妻と山小屋で暮らすようなって、夫もいろいろ気付きます。妻の研究材料、そして息子に靴を左右逆にはかせて虐待していたかもしれないことなど。

そして、そんなことを追求し始めると、元気になりかけていた妻が「私を捨てるつもりなのね。このやろう!」と叫んで夫を襲うようになります。
突然セックスをしかけたかと思うと、固くて大きな木切れで局部を強打したり(あまりの痛みに夫は気絶)、その後、大きいままの局部を手で愛撫して血の射精を行わせたり、あげくに足にドリルで穴をあけ重い砥石をねじ止めしてしまったり。

そして、自分でも自傷行為に及びます。ハサミを持ちだし、気絶と朦朧の境目のような夫の手を使って自分のクリトリスを触らせたかと思うと、息子が亡くなった瞬間に自分がセックスしていたことを思い出し、自分で自分のクリトリスを切断してしまうのです(こんなことができるものなのでしょうか)。さすがに目を覆う場面です。

その後、放置してあった夫が足を引きずりながらも逃げたと知り、罵りながら捜しまわります。ここからは夫婦の戦い。最終的には、夫がレンチを探し出して砥石を外し、反撃に出ます。

そして最後には、手に負えないと思ったか、あるいはもうすでに夫も血迷っていたか、妻の首を絞めて殺し燃やしてしまうのです。

一人になった夫は、メタファーである鹿・カラス・キツネを目撃しながらも山を降りようとします。しかし、そこへ無数の(多分)女たちがこちらに向かって登ってくるのです。茫然と立ち尽くすウィレム・・・。

果たして、夫は救われたのでしょうか。

この映画は、キリスト教に詳しくないと、本当の意味で理解できないのかもしれません。しかし個人的には、エグいとは思いながらも、なんとはなしに「そうよなぁ」と同調できるシーンもあって、また森や動物などのメタファーもうまく挿入されているので、それほど嫌悪感を抱くことなく見ることができました。

ちなみに、wowowでカットされてしまっていたのは、シャルロットが裸のまま飛び出して大きな木の根元で自慰行為をするシーン、血の射精のシーン、シャルロットがクリトリスを切断してしまうシーン、などでした。

切りすぎですよねぇ、意味がわからなくなってしまいます。

ともかく、賛否両論あるでしょうが、私は考えさせられました。
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キラー・エリート(killer elite)

2012年06月03日 00時15分03秒 | 日記

 

 元SAS(イギリス陸軍特殊部隊)のラヌルフ・ファインズの実話を元にした冒険小説「the fether men」を原作とするアクション・サスペンス作品。


 殺し屋稼業から身を引いたダニー(ジェイソン・ステイサム)は、かつての相棒ハンター(ロバート・デ・ニーロ)がオマーン首長の息子を殺した男たちへの報復に失敗し、捕えられたことを知る。ハンター解放と引き換えにその仕事を引き継いだダニーだったが、今回の標的に共通しているのは、国家レベルの秘密組織「フェザー・メン」に守られたSAS(英国特殊部隊)の精鋭たちであり……。(シネマトゥディ抜粋)


 予想していたのと少し違った内容でした。予告やちょっとした情報で、個人的には、クライヴ・オーウェンが完全な悪役で、デ・ニーロは「ジャッキー・ブラウン」みたいに、ちょっと間抜けな男なんだろうと予想していたのです。

ところがどっこい。全然違いましたね、いい意味で。主演のジェイソン・ステイサム始め3人の男たちは、みんな1本筋が通っていて、渋くて強い。アクションもなかなかのもので、見応えのある映画でした。

ジェイソンは強い男の役が多いけれど、どちらかというと、警官とかより殺し屋のほうが似合いますね。今回もその役。でも、予想外に子供が居合わせたとき、どうしても撃てなくて、ぐずぐずしているうちに自分が撃たれてけがをしてしまう。己の限界を感じて引退するが、1年後、師を救うために復帰する。

イギリスのスパイと言うと、ついこのまえ「裏切りのサーカス」をみたところですが、SASは実働部隊だからサーカスとは全然違うはず。でも、クライヴ演ずるスパイクが”フェザーメン”の会議に出ているところを見ると、年輩の男性がいっぱい座って理屈を垂れていて、まるで前出の映画のよう。

イギリスって、大好きな国なんだけど複雑なんですね。

ともかく、デ・ニーロを助けるため、ジェイソンは仲間と共に着々と任務をこなしてゆきます。この「仲間」が、いい味出してました。あんまり見たことない面々なのですが、ひげ面の人(ドミニク・パーセル?)よりもメガネのお兄さん(エイデン・ヤング?)が好みでしたね(笑)。

もちろん、クライヴだって黙っていません。彼らの動きを察知してあの手この手を仕掛けてきます。最後のほうは、フェザーメンより己の信条のために行動するようになります。

この3人(ジェイソン・デニーロ・クライヴ)の演技が出色でしたね。素晴らしい!特に、出番が少なかったデ・ニーロが、終盤になってジェイソンの彼女のボディガードとして活躍するところは快哉を叫ぶところでした。

そして、もちろん、終わり方も美しい。さすが、一筋通った男は違うね。

後味のいい映画でした。

監督ゲイリー・マッケンドリー。

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メン・イン・ブラック3(men in black3)

2012年06月01日 00時12分24秒 | 日記

 

 「ヤツらはタイムスリップで地球を守る」


 久しぶりに3Dで見ました。まぁまぁ見応えはあったけど、でもやっぱり二重のメガネは疲れます。ずれてきますし。

お話はよく出来ていました。この作品、いままでの「1」も「2」も見たのですが、なんとなく覚えてはいるものの、さほどに強い印象はなかった(確かケネス・ブラナーも出てたよな、と思ったら「ワイルド・ワイルド・ウェスト」だった・笑)けれど、今回は最後にホロッと泣かせましたね。うまい作りです。


冒頭、宇宙刑務所から凶悪犯が脱獄します。これが、本当に強い!過去にも彼らと戦ってたのかな。設定ではKがブチ込んだとのこと。

この男のせいで、Kの運命が変わります。責任を感じたKは、Jを巻き込むことなく一人で出かけ、いなくなります。

それからが大変です。どこにもいないどころか、MIBのスタッフ誰もが「Kは40年前に死んだ」などと言います。そんなはずない!昨日まで一緒だったのに!!

なにがなんだか、わけわかんないJは、その40年前にタイムスリップすることになります。なにかが起きたはずなのです。


さて、40年前のKを演ずるのはジョシュ・ブローリン。芸達者ですねぇ、ほんとに。なにをやっても、よくこれほどこなすものです。

さすがに40年も前だと、銃も原始的(?)だし、携帯電話もでかい!これは笑えます。

しかし、Jはそこで若かりし頃のKと一緒にエイリアンと戦い、なんとかKを助けようとします。ところが、予知能力のある異星人に「一人の命を助けたら、代わりに一人の命を奪うことになるよ」と諭されます。それでも、必死で助けてしまうJ。そして、Kの代わりに亡くなったのは・・・。

これは・・・感動する場面ですが、考え方によっては「許せない」という人もいると思います。これをJが素直に受けいれるべきなのか否か。

いや、もともとKは生きていたはずなのだから、後からすり替えられた歴史が間違っているのであって、これが真実なのだ、という考え方もあるでしょう。

どちらにしても、ちょっと複雑な気持ちになりました。

しかし、物語としては一番印象に残りました。タイムスリップが絡んでくるので、わけわかんないところもありますが(笑)。

このシリーズ、まだ続くのかなぁ。

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