写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

小物大漁

2011年10月22日 | 生活・ニュース

 2週間前、幼馴染のT君から電話があった。仲間と釣りに行こうという誘いであった。誘われた遊びには原則として全て参加することにしている。即座にお伴をする返事をしておいた。決行前夜、4時に目覚ましをセットして寝たが、珍しいことに目覚ましが鳴る前に目が覚めた。1年半ぶりの釣り紀行に、やや興奮していることが分かる。

 まっ暗い中、車でT君を迎えに行く。5時半、その日の仲間4人が通津の釣り具店で落ち合い、エサと弁当を買って柳井港の漁港へ向かった。世話役のA君が手配してくれていた漁船が、500m沖合にある防波堤へ運んでくれる。時計を見るとまだ6時半。午後1時に迎えに来てくれるように頼んで防波堤に降りた。

 いよいよ釣り開始。、A君が一人一人にエサのオキアミと活きエビを配ってくれる。長さ200mばかりの防波堤に、各人が思い思いの場所に散らばっていく。その日の狙いはアジとメバルである。オキアミを仕掛けの籠に詰め、まずはアジ狙いを開始した。1投目の竿を投げると、錘が海の底に着く前に早くも当たりがあった。上げてみると20cm大の形のいいアジが1匹跳ねていた。

 「ひょっとすると、今日は大漁かも」、そんな予感を抱きながら第2投。今度は15cm大の少し小さいものが2匹かかってきた。「小さくてもいい、釣れさえすれば」と、釣れたものはすべてクーラーボックスの中に収める。昼までの5時間で、釣れた魚は全部で60匹くらいか。ほとんどが小アジでメバルは僅か7匹だが、手のひら大の鯛も1匹。大きなアジは7匹、メバルは4匹であった。

 まずは大漁と言いたいが、大きなものが少なかった。たくさん釣れたら帰り道、知人に上げようと思っていたが、この大きさでは迷惑だろう。すべてを持ち帰った。家に着き、クーラーボックスを下ろしているとき、近所の奥さんが通りかかった。「小さなアジが釣れましたが、いりませんか?」と言い終わらない内に、「小アジはいいです、骨も硬いし……」とにべもない。

 うちの奥さんだけは私の味方。「わ~、たくさん釣れたわね~」と素直に大喜び。早速夕食には、アジの刺身と小アジの南蛮漬け。翌日のお昼には鯛飯を作ってくれたが、身は少なく匂いだけ。それでも鯛飯に変わりはないと言いながらおいしく頂いた。

 久しぶりに幼馴染と魚釣り。秋の柔らかい日差しの下で、昼食を忘れての7時間。翌日は、リールを投げた後遺症だろう、右肩が凝って痛い。それでもまた行ってみたい魚釣りであった。