立春を過ぎて1週間が経ち、次に迎える24節気は「雨水」で「雪が雨に変わるころ」になる。そんな日の朝、奥さんから、裏庭のみかんの木の葉が病気で黒ずんでいるため、薬の散布を頼まれた。
まずは買ってきた薬剤を50倍に薄める。納屋から電動式の噴霧器を持ち出して、薬液を5リットル作って散布を終えた。時おり東風が吹いたが、それほど強い風ではなく確実に散布することができた。
昨年の暮れ以来、家の中に閉じこもってばかりいて、散歩には出るが庭に出るようなことがない日々を送っている。春めいた陽が差す庭に久しぶりに出てみた。
いつの間にやら、フェンス越しに見る隣の家の梅の木には、白い花が5分咲き位になっている。眺めているとき2羽のメジロがやってきて、枝をゆすりながら、逆さまになって蜜を吸い始める。そんな微笑ましい姿に春の到来を感じる。
しばらくメジロに遊んでもらったあと家に入ろうとしたとき、玄関のアプローチに置いてある水鉢を見ると、表面が少し凸凹しているように見える。もしやと思って手のひらで掬ってみると、薄い氷が張っている。
この冬、私が認めた初氷である。氷といっても、掬えばすぐに手のひらで溶けてなくなるくらいの薄氷であった。そういえば、今日の新聞の俳壇に「薄氷や姉に手引かれ登校児」という句が投稿掲載されていた。「薄氷」に「うすらい」と読み仮名がふってある。「薄氷」を「うすらい」と読むことを知った。
暦の上では春であるが、ここそこに、まだ冬の名残が感じられる。温暖化しているとはいえ、早朝はまだ冬だといってもいいほどの寒さである。しかし、この冬は、1度も雪が降らないまま終わるのだろうか。