写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

テレビのインタビュー

2020年02月05日 | 生活・ニュース

 朝9時半に所用のため奥さんと広島に出かけた。用事を済ませた後、本通りの商店街をウインドウショッピングをしながら歩いていた。少し歩いたとき、私の進路を妨げるように突然若い女性が現れた。

 ちょっとひるんで立ち止まり、よく見ると手にマイクを持っていて、2人の男との3人組である。男の1人はテレビカメラを構えている。女性が「広島テレビですが、ちょっとお話を伺ってもよろしいでしょうか?」という。一瞬たじろいだが「ええ、どうぞ」と答えていた。

 「今、肺炎を引き起こす新型コロナウイルスの感染が急激に広がっていますが、何か対策はしていますか?」「現在特に対策は取っていません」。続いて「感染拡大に対してどう感じていますか」「政府に対してどんなことを要望しますか?」などと、結構難しい質問をいくつもしてくる。

 一応すべての質問に答えた後、「メディアは適切な情報を早く伝えてほしいですね」と要望したところでインタビューを終えた。

 テレビのニュースを見ているとき、街頭でインタビューされているシーンは何度も見てきたが、まさか私が受けるとは思ってもいなかった。あらかじめ考えてもいないことを突然聞かれて答えるということの難しさがよく分かった。

 ところが外国人はこんな時、雄弁に答えることが多い。私を含めて日本人は往々にして口が重い。というよりは、確たる自分の意見を人前で述べるということに慣れていない人が多いと思いながらテレビを見ていた。

 思いもかけずこんな体験をしたが、しどろもどろのインタビューが、今夕のニュースで果たして流されるかどうか。楽しみ半分、怖さ半分という所で待っていた。

 午後6時15分からの広島テレビでニュースを見た。最初にコロナウイルスのニュースで、本通りでのインタビューが映し出された。なんと私の顔が画面いっぱいに映し出され、最後に放った言葉が字幕で出たのには驚いた。たった5,6秒の時間であったが、生まれて初めての体験を冷や汗を流しながら見ていた。