つい数年前まで、訓練を重ねた人が、エンジンで動かす大きな扇風機のようなものを背負い、鳥のように空中を飛行しながら、人が近づくことのできない色々な景色の写真を撮ったものが良くテレビで放映されていて、興味深く見ていた。
ところが最近では、「ドローン」(drone)といって、おもちゃのラジコンでヘリコプターを飛ばすように、小型のカメラを搭載したものが急速に出回り、各方面で実用的なものとして活用されるようになってきた。
ドローンとは、英語で雄バチのことをいい、ブーンという羽音がドローンと似ているからついた名前だという。これを飛ばすうえで、現在、特に必要とする資格はないが、航空機の航行の安全に影響を及ぼす可能性がある空域や、落下した際に地上にいる人に危害を及ぼす恐れが高い空域でドローンを飛行させる場合には許可が必要になるという。
今朝朝食をとりながらテレビを見ていると、東京の目黒川沿いに今満開の桜並木を映し出していた。しかもその並木を川の中からと上空からとを、ドローンを使って撮して見せてくれた。これこそまるでハチになって花の間を飛び回っているような気分になった。
ドローンは、人が簡単に近づくことができないところにいとも簡単に近づくことができるところが最大の特徴であろう。従来であれば足場を作ったり、航空機を使ったり、望遠レンズで写したりでしか確認できなかったものが、ドローンを使えば、接写もできるしいろいろな角度からの写真も簡単に撮れる。
今までは見ることのできなかった美しい風景をいろいろな角度で見ることができるばかりではなく、橋や高層ビルなどの設備の維持管理などにも活用できる。また、危険な場所でも観察できる。これから多方面で大いに活用が期待される優れものである。
過酷な労働で今話題になっている宅配にも、活用が検討されている。近い将来、地上の道路の頭上は、ドローン専用の空中道路というものが設定され、宅配は空中便となる世の中になるかもしれない。