写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

たけくらべ

2017年04月24日 | 季節・自然・植物

 隣の町、大竹市に大型のホームセンターが開店した。ホームセンターと聞くと一度は出かけてみたくなる。奥さんはバラの苗木を買いに、私はといえば買いたいものは特にないが、何か目新しいものでもないかと出かけてみた。

 この辺りでは最大規模の店舗には、植木や花の苗、工具や木材などの普通のホームセンターに並べてあるもののほか、ペットショップにリフォーム用品など、およそ住居に係るものは何でもそろっている。奥さんと別行動で見学を終えた。

 待ち合わせの時間に車の中で奥さんを待っていると、大きなバラの木を抱えて「前からこのバラが欲しかったの」と嬉しそうに乗り込んできた。それを見ると私も急にある樹木がほしくなってきた。「白い花のハナミズキ」である。

 我が家には、27年前、家を新築した記念に植えておいた白と薄紅のハナミズキが各1本と、10年物の濃い紅色の花が咲く1本の計3本を表と裏の庭に植えている。27年物の薄紅の花をつける1本が、最近少し元気がなくなってきている。花の数も減ってきた。

 そんなこともあって、もう1本ハナミズキを植えたいと思っていたとき、奥さんのバラの木に触発されて、今を盛りに大きな白い花をつけているハナミズキを買った。高さは1.5m、幹の太さは4cmくらいである。こんな幼木でも大きな花を50個くらいつけている。 

 家に戻り早速、裏庭のバラ園の一角に植えた。バラが咲くまで花のない庭が、この1本で急に明るい景色に変わった。さて、この植樹、「何の記念に植えたのか?」と聞かれれば、何と答えようかと考えた。そうだ、遠くにいる孫娘の誕生記念ということにしよう。

 身近で孫の成長を見ることはできない現状、代わりにこのハナミズキの成長を見ることを楽しみにしてみよう。背丈はあっという間に追い抜かれそうだが、春と秋、白い花と紅葉で楽しませてくれる。そんな今、我が家は紅白のハナミズキが真っ盛りに咲いている。