写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

山菜を三菜

2017年04月21日 | 季節・自然・植物

 近くに元気印の女性がいる。学生時代はハンドボール部で活躍し、現在は地域社会人のソフトボールチームのマネージャーで頑張っている。年は私より一世代若いといっても、とっくに還暦は過ぎているのに、若々しく活動的な女性である。

 彼女は毎年4月に入ると急に忙しくなる。3人の仲間と山に分け入って、山菜取りを趣味でやっている。早春は瀬戸内海沿岸を、4月も中旬ともなると中国山地に出かけるという。

 この時期、彼女が丸1日かけて採ってきた山菜のおすそ分けで、我が家の食卓は急ににぎやかになる。昨夕は、採ってきたばかりの山菜を持ってきてくれた。コシアブラ、フキ、ゼンマイに茹でてあるタケノコまでをもらった。

 奥さんの指示で、フキの皮をむいて水を入れたボールの中に浸す作業をした。フキ特有の香りをかぎながら、茎の中ほどを折っては皮をむいていく。30本くらいむいたころ指先を見てみると、黒く染まっている。子供のころ、そんなこともあったなと昔を思い出しながらすべての皮をむき終わると、奥さんが煮物にしてくれる。

 初物のタケノコはタケノコご飯に変身、ゼンマイはしばらくは冷蔵庫に保管。コシアブラはすぐに天ぷらにしてビールを飲んだが、日ごろは飲めない350㏄の缶ビールがいとも簡単においしく飲み干せる。

 かくて我が家の晩ご飯は、すべて頂き物の山菜、フキ、ゼンマイ、タケノコの三菜でおいしくまかなえた。それにしてもコシアブラの天ぷらは、どうしてあんなにビールに合うのだろう。

 これでカープが勝ってくれれば、いうことはないのだが、事はそうはうまく運ばないのが現実。今年初めての3連敗したあとの今宵のヤクルト戦、果たしてどうなることか。コシアブラの天ぷらのように、カープ打線はフライばかり上げずに、脂が乗って調子を出してくれないものだろうか。コシアブラの天ぷらと冷やした缶ビールを前に気をもんでいる。