写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

寒花見

2013年03月27日 | 季節・自然・植物

 1週間前に錦帯橋の桜の標準木の開花宣言が出たことはニュースで知っていた。数日前に、車で錦帯橋界隈をぐるりとひと回りしてみたが、咲いている木でもまだ1、2分咲きというところであった。 昨日3月26日。このところの暖かさでどのくらい開いたのだろうと思い、奥さんと2人弁当を買い込み、ござを抱えて錦帯橋に出かけてみた。

 午後1時に着いた。上河原には三々五々、シートを広げて弁当を食べている。ほど良い距離がちょうど保てるくらいの花見客である。出店の前のテーブルにはあまり客はいない。風はないが、朝から少し冷え込んでいた。ダウンのジャケットにマフラーを巻いて出かけたが、奥さんは手袋までしている。まるで雪まつりに出かけるような出で立ちに見える。

 桜は3分から4分咲きというところか。今週の土日あたりが見ごろで、大賑わいが予想される。食後、吉香公園の中を歩いて回った。公園の隅っこにある枝垂れ桜は満開に近い。ソメイヨシノと咲く時期が逆ではないのか。そんなことを話しながら散策する。

 山裾の清閑な住宅街に、高い生垣に囲まれた住居がある。広い庭に背の高い1本の大きな枝垂れ桜がひと際華やかに目に入る。岩国市内でも、こんなに大きな枝垂れ桜は他にはなかろうと思うほど立派である。足を止め、垣根越しにしばし見とれた。

 折り返して又公園に戻った。徴古館のある堀沿いの桜並木の通りに出たとき、無粋な光景が目に入った。長さ170mの直線の道路の両側に桜が植えられていて見通しの良い美しい景観が迫るものの、道の両側に真っ赤なプラスチックのコーンがズラッと並べてある。何も表示はしていないが、この季節桜見物の車の駐車禁止の意味があるのだろう。

 こんなものがあると写真を撮っても様にならない。もう少し気のきいた対策は取れないものか。毎年同じことを思う桜並木ではある。今日は朝から雨。桜の開花もひと休みか。「さくら さくら 錦帯橋の空は 見わたすかぎり 霞か雲か 匂ひぞ出づる いざや いざや 見に行かん」。週末、また出かけてみたい。