写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

老いては老いに教えられ

2013年03月16日 | 生活・ニュース

 昨年の12月初め、岩国検定の試験を実施した。それを周知するため9月初旬、ポスターを市内の各所に貼って歩いた。その内の1枚は、雨が降っても大丈夫なようにラミネートして、我が家のアルミ製の白い塀に、黒色の両面接着テープを使ってしっかりと貼っておいた。

 この接着テープは、試験実施の日までポスターが絶対に剥げないように強力なものを買い求めた。検定試験が終わり、用済みとなったポスターを取り外しにかかった。ところが、塀に貼り付けた接着テープは、爪先を使って取り除こうとするも全く剥がすことができない。

 強力な接着テープというだけあって中々手ごわい。しばらく放置しておき、紫外線で劣化してポロポロと自然に剥げ落ちることを期待することにした。ところが正月になっても健在であった。雪が舞っても、冷たい雨が降っても、頑固に接着している。時々爪で剥ぎ取ることを試みるがびくともしない。

 白い塀に、上下2本の黒いテープが意味もなくいつまでも貼り付いているのは見苦しくもある。気になってしようがないまま3月に入った。自然の力に頼っているだけでは剥離は期待できない。強硬手段に出る決心をした。

 薄い金属性のヘラを持ち出し、ごしごしと力仕事で剥ぐことを試みたが、かなりの力を入れてもやっぱり剥げない。手首や指も疲れてくる。そんなことを2、3回試みたがうまくいかないのでまた放っておいた。しかし、やっぱり気になる。またまた、それまでと同じやり方でごしごしやっているとき、裏の団地に住む顔見知りのおばあちゃんが通りがかった。

 「あ~、それはねぇ、温めたらすぐとれるよ。わたしゃあ、ホテルに勤めていたとき、ガラス窓に貼ったテープは湯をかけて剥いどったよ」と教えてくれた。そういえば昔、子供が窓ガラスに貼ったシールを温めて剥がしていたことを思い出した。ヘアドライヤーを持ち出して助言通り温めてみると、なんてことはないきれいに剥げて悩みは一挙に解消した。

 この方法、やったことはあったが忘れていた。おばあちゃんのおかげで、きれいにはなったが、今度会ったときにどや顔をされることがちと悔しいが、そこは我慢するしかない。ここは素直に「おばあちゃん、ありがとう!」と頭を下げるしかない。