写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

想定外

2011年08月22日 | 生活・ニュース

 盆休みが終わったころにやって来た孫が、5泊したあと帰っていった。いつもの静かなふたりだけの午後を過ごしていたとき、久しぶりの友が訪ねてきて来てくれた。お茶を飲みながら、話に花を咲かせていた時のことである。突然、部屋の電気が消えた。

 「あれっ、停電? ブレーカーが落ちたのかな?」と言いながら、玄関脇にあるブレーカーを見るために廊下に出た。ダイニングルームでエアコンを付けてテレビを見ていた奥さんも「電力不足の停電かしら」とか言いながら廊下に出て来た。

 ブレーカーを点検してみたが、どれも落ちてはいない。この地域全体が停電になったのかを確認するため外に出た。すると、すぐ近くにある高い電柱の上で、電力会社がリフトを使って何やら工事をやっている。「今、電気を切りませんでしたか?」と問うと「すみません、間違って切ってしまいました」と謝る。
 
 話を聞いてみると、変圧器の取り換え工事を実施しているという。一旦、電気を切らなければいけない操作があるため、持ちこんだ小型の発電機に切り替えなければいけないが、その時の操作を誤ったため停電に至ったと説明した。

 状況が理解できたので、何らとがめるようなこともせず家に戻った。しかし考えてみると電力会社も配慮が少し足りないのではないかと思う。うまくやれば停電など起こさずに工事は終わるのであろうが、ちょっと間違えれば停電を引き起こすような工事である。該当地域に工事の内容と、万が一の場合停電するかもしれないことを、あらかじめ知らせておくべきではなかったのか。

 病院などではなく個人の家の中で、急な停電があったからといって、大それた事故などは起きないかもしれないが、不意をつかれると少し驚く。数分後には復電した。それから30分後、電力会社から丁重なお詫びの電話がかかってきた。時が時だけに、このところの電力会社の対応は低姿勢だ。

 小さなトラブルで終わった電気工事ではあったが、人間のやることにミスはつきもの。工事中のミスは、電力会社にとっては想定外だったのだろうか。友と団らんしていた私にとってこそ突然の停電は全くの想定外。停電を機に、話を残して友は帰っていった。