写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

科学の実験

2011年08月19日 | 生活・ニュース

 息子が遠くへ転勤したため、1年前から嫁と孫息子は東京から広島に帰っている。夏休みに入って間もなく嫁から電話がかかってきた。「おとうさん、夏休みの宿題に、科学の実験というものがあります。何をしたらいいか、考えてもらえませんか?」と言う。

 夏休みの宿題、久しぶりに聞く言葉である。小学3年にして、こんな宿題……。今、何を習っているのかを知らない。どんなレベルのことを実験すればいいのかも見当が付かない。父親不在の孫に、どんな手を差し伸べればいいのか、数日考えてみたが、これという案は思いつかない。

 そうしている内に、孫がやってきた。花火大会に連れていった折、夜店で「スマートボール」という、とてもよく跳ねるプラスチック製のボールをすくい上げて持って帰った。それを弾ませて遊んでいるのを見たとき、「よしっ、これだ!」、科学の実験テーマを思いついた。 

 「このボールは一体どのくらい跳ねるのかな?」。この問いかけの答えを、実験で求めることにした。巻尺を廊下の壁に貼り付ける。私が高さを変えて、いろいろな高さからボールを落とす。跳ね返った高さを、孫が眼を凝らして鋭く読み取り記録する。それをグラフにプロットしてみると、その点は、ものの見事に一直線上に並んでいる。この実験の様子を、大きな画用紙7枚にまとめさせた。 

 題して「夏休みの科学実験 スーパーボールのはねかえり方」。内容は1.実けんの内よう 2.実けんの方法 3.実けんけっか(表) 4.実けんけっか(グラフ) 5.分かったこと 6.もっと調べたいこと。

 赤・緑・黄・青・黒のマジックインキを使って、視覚に訴えるようによくまとめた。実験内容では、どのくらいよく跳ねるのかを知りたいという問題意識。実験方法では、実験の様子を漫画チックな絵で表現。4実験結果は、「まだ習っていない」と言いながらも、グラフの描き方を教えて書かせる。分かったことでは、「落とした高さの決まった分だけボールはいつもはねかえることが分かった」と、小学3年生なりの表現で括っている。

 スーパーボールの跳ね返り率は、床の条件で変わるが、我が家のフローリングでは落とした高さの85%であった。これを小学3年生としてどう表現するのかと思ったが「落とした高さの決まった分だけボールはいつもはねかえる」と書いている。3年生ならこれでよかろう。

 夏休みの大きな宿題を無事に終えた孫は「今日はどこに連れていってくれるの?」と、連日何かを期待されている。